排水桝(排水マス)とは?
地中排水管の点検口
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建物の周りの地面の下に埋まっている排水管の途中に設けられた「点検・清掃用のフタ付きの
箱」のこと。
排水管が詰まったときに蓋を開けて中を覗いたり、高圧洗浄のノズルを入れたりするために
必要です。
1. 基本概要
そもそも何か
排水桝(排水マス・汚水桝・雨水桝)とは、建物から公共下水道までの間の地中排水管の途中に
設ける点検・清掃・合流用のボックスです。
排水の方向転換箇所、合流箇所、一定間隔ごとに設置され、管内の清掃や詰まりの解消を行う
ためのアクセスポイントです。
なぜ必要なのか
地中に埋まった排水管は直接目視できないため、管内の詰まりやの状態を確認するための
アクセスポイントが不可欠です。
排水桝がなければ、詰まりが発生した際に地面を掘り返して配管を確認する大がかりな工事が
必要になります。下水道条例でも排水桝の設置が義務づけられています。
2. 構造や原理
排水桝の種類
-
インバートマス(ストレートマス):桝の底部に半円形の溝(インバート)が切られており、
排水が停滞せずスムーズに流れる構造です。
汚水排水の合流・方向転換点に使用されます。 -
ドロップマス(段差マス):上流側の排水管が高い位置にあり、桝の中で段差を設けて下流管に
落とす構造です。
地盤の高低差がある場所で使用されます。 -
トラップマス:桝内に封水(水溜まり)を設けて下水管からの臭気の逆流を防ぐ構造です。
建物からの最終汚水桝として設置されます。 -
雨水桝:雨水排水専用の桝。
泥溜め(沈砂部)を設けて土砂の流入を防ぐ構造になっています。
材質
-
塩ビ製(硬質ポリ塩化ビニル製):軽量で施工性に優れ、現在の住宅・小規模建物で最も
普及しています。
耐腐食性が高く、漏水のリスクが低いです。 -
コンクリート製:大口径の排水管や大規模建物で使用されます。
重量があり施工にはクレーンが必要ですが耐荷重性に優れます。
3. 素材・形状・規格
サイズの種類
-
小型(150〜200mm):住宅用。
VP75〜VP100の排水管に対応。 -
中型(300〜450mm):小規模ビル・マンション用。
VP150〜VP200に対応。 -
大型(600mm以上):大規模施設用。
大口径排水管に対応。
関連規格
塩ビ製桝はJISK6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」、コンクリート製桝はJISA5372
「プレキャスト鉄筋コンクリート製品」に準拠します。
蓋の耐荷重は設置場所に応じてT-2(歩道)〜T-25(車道)を選定します。
4. 主に使用されている場所
- 戸建住宅の敷地内排水管路
- マンション・ビルの外構排水系統
- 駐車場・敷地内通路の雨水排水
- 工場・倉庫の外構排水
- 商業施設の厨房排水経路
設置間隔の目安
排水管の直線部では15〜20m間隔、方向転換部・合流部・管径変更部には必ず設置します。
建物からの最初の排水桝は建物外壁から1m以内に設置するのが一般的です。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
- 点検・清掃が容易:蓋を開ければ管内の状態確認と清掃が可能。
- 詰まり箇所の特定:桝ごとに排水の流れを確認でき、詰まり箇所を迅速に特定。
- 将来の増設対応:既存桝に新規の排水管を接続して増設が可能。
デメリット(短所)
- 定期清掃が必要:トラップマスや雨水桝は汚泥が溜まるため定期的な清掃が不可欠。
- 蓋のガタつき:車両荷重部の蓋は経年で変形しガタつきが生じることがある。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 塩ビ製インバートマス(150mm):約3,000〜8,000円
- 塩ビ製トラップマス(150mm):約5,000〜12,000円
- コンクリート製マス(300mm):約8,000〜20,000円
- 設置工事費(1基あたり):約15,000〜40,000円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
塩ビ製桝は30〜50年程度の耐用年数です。
コンクリート製は30年以上ですが、汚水による腐食が進む場合があります。
蓋の交換は10〜20年が目安です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
トラップマスや雨水桝の汚泥を何年も放置すること。 汚泥が堆積して排水管を閉塞し、 排水の逆流(オーバーフロー)が発生します。
排水桝の蓋の上にコンクリート土間や花壇を作ること。 点検・清掃ができなくなり、詰まり発生時に 構造物の解体が必要になります。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
清掃を怠ると、汚泥や油脂の堆積により排水管が完全閉塞し、汚水が桝からあふれ出て敷地内が
汚染されます。
臭気の問題だけでなく衛生環境の悪化を招き、近隣からの苦情や保健所からの指導に発展する
場合もあります。
8. 関連機器・材料の紹介
9. 多角的なQ&A(20連発)
庭にあるフタの付いた丸い穴は何ですか?
排水桝(排水マス)です。建物の排水管の点検・清掃口として設けられています。
蓋を開ければ排水管の中が確認できます。
排水桝の掃除は自分でできますか?
住宅の小型桝なら、蓋を開けて中の汚泥をスコップですくい、水で洗い流す簡単な清掃が
可能です。年に1〜2回が目安です。
排水桝から臭いがするのですが。
蓋の密閉不良か、トラップマスの封水が抜けている可能性があります。
蓋のパッキンを確認し、桝内に水を補給してみてください。
排水桝に木の根が入り込んでいるのですが。
樹木の根は排水管の継手部分から侵入することがあります。
根を切除して、侵入箇所の補修を配管業者に依頼してください。
排水桝の蓋が割れてしまいました。交換できますか?
蓋のサイズ(口径)を測定すればホームセンターや通販で購入可能です。
規格品のため同サイズの蓋を載せるだけで交換できます。
桝の底部インバートの施工精度はどの程度必要?
インバートの勾配は上流側から下流側へ滑らかに仕上げ、排水が停滞しない流路を
確保してください。
塩ビ製桝なら工場でインバート加工済みの製品を選ぶと品質が安定します。
桝の据付け深さの決め方は?
排水管の勾配と管底高さから逆算して決定します。
蓋面がGL(地盤面)と面一になるよう調整してください。
塩ビ桝の接続方法は?
塩ビ桝の各ソケット口に排水管を差し込み、接着剤で固定します。
差込み不足は漏水の原因になるので、罫線まで確実に挿入してください。
車両が通る場所への設置の注意点は?
T-25耐荷重の蓋と受枠を使用し、桝の周囲をコンクリートで固めて(巻きコン処理)
荷重を分散させてください。
既存桝に新規排水管を接続する方法は?
桝の壁面にホールソーで穴を開け、ゴムジョイントまたは接着継手で接続します。
新設管のインバート高さが下流側より高いことを確認してください。
下水道接続時の最終桝の設計注意点は?
自治体の下水道接続基準に従い、トラップマスの設置有無、管底高さ、管径を
確認してください。公共桝(公設桝)との取り合いは事前に下水道課と協議が必要です。
雨水桝と汚水桝の分流設計の注意点は?
分流式の下水道区域では雨水と汚水を絶対に混ぜないでください。
桝の蓋に「雨水」「汚水」の表示をして誤接続を防止します。
排水勾配の確認方法は?
各桝の管底高さ(IL:InvertLevel)を測量で確認し、桝間の勾配が設計値
(通常1/100〜1/200)を確保していることを検査してください。
寒冷地での凍結対策は?
凍結深度より下に管底を設置するか、断熱材で桝を覆う対策が必要です。
凍結深度は地域により異なるため、自治体の基準を確認してください。
竣工検査での排水桝の検査項目は?
蓋面の高さ(GL面一)、インバートの仕上がり、管の接続状態、通水試験、蓋の種類
(耐荷重)が主な検査項目です。
排水桝の清掃頻度はどのくらい?
住宅は年1〜2回、飲食店は月1回程度が目安です。
雨水桝は梅雨入り前と秋の落ち葉シーズン後に清掃を推奨します。
排水桝から水があふれています。どうすれば?
下流側の排水管が詰まっている可能性が高いです。
桝の蓋を開けて水位を確認し、高圧洗浄業者に管内清掃を依頼してください。
排水桝の蓋がガタガタするのですが。
蓋または受枠の変形が原因です。
蓋の交換で改善する場合が多いですが、受枠がすり減っている場合は受枠ごと交換します。
排水桝の位置を示す図面はありますか?
竣工図の外構排水図に排水桝の位置・管径・管底高さが記載されています。
図面がない場合は桝の蓋を目視で探すか、配管探査を行います。
コンクリート桝がひび割れていますが補修できますか?
軽微なひび割れはエポキシ系の補修材で対応可能です。
大きなひび割れや欠損がある場合は桝の交換を検討してください。