アイボルト・アイナットとは?
重量物を吊り上げる「目」。揚重工事に欠かせない吊り金具

【超解説】とても簡単に言うと何か?
アイボルトは、頭がリング(輪っか)になったボルトです。
このリングにワイヤーやフックを掛けて、重い機械や鉄骨を吊り上げるために使います。
クレーン作業や設備搬入など、重量物を安全に吊るための命綱です。
1. 基本概要
そもそも何か
ボルトの頭部がリング状(アイ=目の形)になっている特殊ボルトです。
重量機器のフレームに予めねじ込んでおき、搬入・据付時にクレーンのフックを
引っ掛けて吊り上げます。JIS B 1168で規格化されています。
なぜ必要なのか
重量物を安全に吊るためには、荷重を確実に受け止める「吊り点」が必要です。
アイボルトは吊り荷重が明確に規定されており、安全な揚重作業を可能にします。
2. 構造や原理
構造
リング部(アイ)とネジ部(シャンク)で構成されます。
リングの内径にシャックルやフックを掛け、ネジ部を機器のメネジに締め込みます。
荷重の受け方
アイボルトは「垂直吊り」を前提に設計されています。
斜め吊りでは荷重の方向がリングの面外方向になり、許容荷重が大幅に低下します。
斜め吊りには「旋回型アイボルト(スイベルアイボルト)」を使用します。
3. 素材・形状・規格
種類
・JIS型アイボルト:最も一般的。垂直吊り専用。JIS B 1168。
・旋回型アイボルト:リングが360°回転し、あらゆる方向の吊りに対応。
・アイナット:ナットの上部がリング状。ボルトの先端に取り付けて吊り点にする。
素材はSCM435(クロムモリブデン鋼)の鍛造品が標準です。
4. 主に使用されている場所
建設現場
鉄骨建方時のクレーン吊り、重量設備(空調機・受変電設備等)の搬入・据付、
プレキャスト部材の吊り上げ、仮設資材の搬送など。
工場・プラント
機械設備の据付・移設、金型の交換作業、重量物の定期メンテナンス時の吊り上げ。
5. メリット・デメリット
メリット
JIS規格で使用荷重が明確に定められており、安全管理が容易です。
ネジ込み式のため取付け・取外しが自由で、繰り返し使用可能です。
デメリット
JIS型アイボルトは垂直吊り専用で、斜め引きに弱い致命的な弱点があります。
また、ネジの締込みが不完全だと吊り上げ中にネジが外れる危険があります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- JIS型アイボルト M12:300〜600円
- JIS型アイボルト M20:800〜1,500円
- 旋回型アイボルト M16(使用荷重1.6t):3,000〜6,000円
- アイナット M16:500〜1,000円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
使用前に毎回目視点検を行い、変形・亀裂・摩耗がある場合は即座に廃棄します。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
JIS型アイボルトは垂直吊り専用です。斜め45°では許容荷重が約25%まで激減し、
リングが開いて吊り荷が落下する致命的事故になります。
悪い使用方法をするとどうなるか
吊り荷の落下は作業員の直撃死亡事故に直結します。
実際に、アイボルトの誤使用による重大災害は毎年発生しています。
8. 関連機器・材料の紹介
9. 多角的なQ&A(20連発)
アイボルトって何?
頭がリング状(輪っか)のボルトです。
クレーンのフックを掛けて重い物を吊り上げるために使います。
DIYで使える?
エンジンや大型家具の移動に使えます。
ただし安全荷重を必ず確認し、超過しないでください。
斜めに引っ張ってはダメなの?
JIS型アイボルトは垂直吊り専用です。斜めに引くと許容荷重が激減し、
リングが開いて荷が落下する危険があります。
旋回型アイボルトとは?
リングが360°回転するため、あらゆる角度からの吊りに対応できます。
斜め吊りが必要な場合は旋回型を使ってください。
使用荷重はどこに書いてある?
JIS型はM呼び径ごとに荷重が規定されています。
M16で約900kg(垂直吊り)が目安です。
アイボルトのネジ込み深さは?
ネジ部の全長が部材のメネジに完全に噛み込む状態まで締め込みます。
座面と部材が密着していないと危険です。
2本のアイボルトで吊る場合の角度は?
吊り角度が60°以内になるようにしてください。
角度が大きくなるほど各ボルトにかかる荷重が急激に増大します。
シャックルとの組み合わせは?
アイボルトのリングにシャックルのピンを通して接続します。
シャックルの使用荷重もアイボルトと同等以上を選んでください。
アイボルトの点検項目は?
リングの開き・変形・亀裂、ネジ山の摩耗、サビの状態を確認します。
少しでも変形がある場合は即座に廃棄してください。
アイボルトの修理は可能?
一切の修理・溶接・曲げ直しは禁止です。
変形・損傷したアイボルトは必ず新品に交換してください。
揚重計画書にアイボルトの記載は必要?
はい。吊り方法、使用するアイボルトの呼び径と使用荷重、
吊り角度、安全率を記載してください。
安全率はいくつ必要?
一般的に安全率5以上が推奨されます。
使用荷重(許容荷重)は破断荷重を安全率で割った値です。
施工記録に何を残す?
使用したアイボルトの品番・サイズ・使用荷重・吊り荷重・写真を記録します。
クレーン作業でのKY(危険予知)項目は?
アイボルトの締込み確認、吊り角度の確認、介錯ロープの準備、
吊り荷下への立入禁止区域の設定が主要項目です。
法令上の根拠は?
クレーン等安全規則、労働安全衛生法に基づく
玉掛け作業の安全基準に従ってください。
アイボルトが設備に付いたまま放置されています
使用しない場合でも点検を行い、サビ防止のためグリスを塗布してください。
再使用時には必ず点検を行ってください。
アイボルトの保管方法は?
屋内の乾燥した場所で、サイズ別に整理して保管してください。
油脂を薄く塗布しておくとサビ防止になります。
アイボルトの廃棄基準は?
リングの開きが原形の5%以上、ネジ山の摩耗が1山以上、
目視で亀裂が確認された場合は廃棄してください。
ステンレス製アイボルトはいつ使う?
食品工場、化学プラント、海洋環境など腐食が激しい場所で使用します。
在庫管理は?
M12・M16・M20の3サイズを各2〜4個常備すれば
一般的な揚重作業に対応できます。