サーモカメラとは?
目に見えない温度差を色で映し出す「建物の健康診断ツール」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
物の温度を色で見せてくれる特殊なカメラです。暖かい所は赤く、冷たい所は青く映ります。
断熱の悪い場所や雨漏り箇所を壁を壊さずに見つけられます。
1. 基本概要
そもそも何か
サーモカメラ(赤外線サーモグラフィー)は、物体が放射する赤外線を検知して
温度分布を画像として可視化する測定機器です。非接触・非破壊で広範囲の
温度を一度に測定できます。
なぜ必要なのか
断熱不良・気密欠損・雨漏り・電気設備の異常過熱など、目視では発見困難な不具合を
迅速に発見できます。建物の省エネ診断にも活用。
2. 構造や原理
赤外線検知の仕組み
すべての物体は温度に応じた赤外線(波長8〜14μm帯)を放射しています。
サーモカメラのセンサーが赤外線の強さを検知し、温度に変換して画像化します。
放射率の概念
放射率は物体が赤外線を放射する効率(0〜1.0)。建材は0.90〜0.95と高く
正確に測定しやすいですが、金属面(放射率0.1〜0.3)は正確な測定が困難です。
3. 素材・形状・規格
センサー:非冷却マイクロボロメータ(酸化バナジウム or アモルファスシリコン)。
解像度:160×120〜640×480px。建築用は320×240px以上を推奨。
温度範囲:-20〜+350℃が一般的。
精度:±2℃ or ±2%。日本建築学会の赤外線診断
ガイドラインに準拠して使用。
4. 主に使用されている場所
外壁タイルの浮き・剥離診断、断熱欠損・気密漏れの調査、雨漏り箇所の特定、
電気設備の過熱点検、床暖房の配管確認、太陽光パネルの故障診断。
5. メリット・デメリット
メリット
① 非破壊:壁を壊さず内部の不具合を推定可能。
② 広範囲:一枚の画像で広い範囲を一度に確認。
③ 記録性:画像で記録でき経年変化の比較が容易。
デメリット
① 環境条件:日射・風・雨の影響で測定精度が低下。
② 表面温度:あくまで表面温度の
計測であり内部の直接測定ではない。
③ 読影技術:正確な判定には専門知識と経験が必要。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- スマホ取付型(簡易):
30,000円〜80,000円程度 - 建築用(320×240px):
200,000円〜500,000円程度 - 高解像度業務用(640×480px):
800,000円〜2,000,000円程度 - 外壁診断調査費用:
300円〜800円/㎡程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
機器本体は5〜10年。センサーの劣化により精度が低下するため定期校正(年1回推奨)が必要。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
太陽光が当たっている壁面は
日射の影響で表面温度が上昇し、
断熱不良との区別がつきません。
外壁の撮影は早朝・夜間または
曇天時に行ってください。
日本建築学会のガイドラインに
従った撮影条件の遵守が必須です。
8. 関連機器・材料の紹介
- 断熱改修:サーモカメラで診断する対象。
▶ 詳細記事はこちら - 雨漏り対策:雨漏り箇所の特定に使用。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
自宅の断熱診断に使える?
冬場に暖房を入れた状態で外壁を撮影すると断熱の弱い箇所が暖かく映って分かります。
スマホ用でも十分?
簡易的な確認ならスマホ取付型でも可能。正確な診断には専用の高解像度機が必要です。
雨漏り箇所は分かる?
水分がある箇所は蒸発冷却で周囲より低温に。その温度差で位置を推定できます。
プライバシーの問題は?
サーモカメラは温度を見るもので壁の向こう側や室内の詳細は映りません。
ただし窓からの熱放射は映ることがあります。
費用対効果は?
断熱改修前の診断に使えば効果的な改修箇所を特定でき、無駄な工事を削減できます。
撮影のコツは?
室内外の温度差が10℃以上、風速5m/s以下、日射なしの条件で撮影するのが理想。
放射率は0.95に設定。
断熱施工の品質確認に使える?
吹付け断熱の施工後にサーモカメラで撮影すると充填不足の箇所が分かります。
自主検査に有効です。
気密漏れの確認方法は?
冬場に室内から撮影すると外気が漏れ込む箇所が青く映ります。送風機加圧と併用すると
より明確に分かります。
電気工事での活用は?
分電盤やブレーカーの過熱箇所を発見できます。接続不良は周囲より高温に映ります。
床暖房の確認は?
床暖房の配管パターンを床面から撮影すると温水の流れが見えます。
詰まりや故障も発見可能。
外壁タイルの診断は?
タイルの浮き部分は空気層が断熱層となり周囲と温度差が生じます。足場不要で広範囲を
一度に調査可能です。
報告書の作成は?
可視画像と熱画像を並べ、異常箇所に注釈を付けて報告書を作成します。
温度スケールの統一が重要。
資格は必要?
法的な資格は不要ですが、赤外線建物診断技能師やJSNDI(日本非破壊検査協会)の
資格があると信頼性が高まります。
ドローンとの併用は?
サーモカメラ搭載ドローンで高層建物の外壁診断が可能。足場コストの大幅削減に
つながります。
精度の限界は?
表面温度の計測であり内部構造の直接確認ではありません。疑わしい箇所は
打診調査で最終確認を。
定期点検に使える?
受変電設備・配電盤の定期点検で異常過熱を早期発見できます。
年1回の撮影記録がおすすめ。
配管の漏水発見は?
温水管の漏水箇所は床面や壁面に温度差として現れます。早期発見に有効です。
校正はどうする?
メーカーまたは校正機関で年1回の校正を推奨。黒体炉を基準にして測定精度を確認します。
データ管理は?
撮影画像は日時・場所・気象条件とともに保存。経年比較ができるよう
同じ条件で定点撮影を。
レンタルは可能?
建築用サーモカメラは計測機器レンタル会社で借りることができます。
日額5,000〜20,000円程度。