溶接機とは?
溶接機
【超解説】とても簡単に言うと何か?
鉄やステンレスなどの金属を、電気の力でドロドロに溶かして、くっつけるための機械です。
ボルトや接着剤で止めるより遥かに頑丈に、金属同士を一体化させることができます。
1. 基本概要
そもそも何か
電気をショートさせた時に発生する強烈な光と熱(アーク)や、可燃性ガスを利用して、母材
(くっつけたい金属)と溶加材(溶接棒など)を溶かして接合する装置です。
なぜ必要なのか
ビルの鉄骨、船、橋、配管など、絶対に外れてはいけない構造物を作るためには、金属同士を
原子レベルで結合させる溶接技術が不可欠です。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
電源装置(インバーター等)から、プラス極とマイナス極のケーブルが出ています。
片方(アース)を金属の材料に繋ぎ、もう片方(トーチ・ホルダ)を近づけて電気回路を
ショートさせます。
作動原理
ショートの瞬間に発生する「アーク放電」は数千℃もの超高温になります。
この熱で金属がプール状に溶け、冷えて固まることで強固にくっつきます。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
小型のインバーター溶接機は弁当箱〜ミカン箱サイズで持ち運び可能。
工場用やエンジン駆動の現場用(ウェルダー)は大型の箱型でキャスターやトラックの荷台に
載せられます。
種類や関連規格
一般的な「被覆アーク溶接(手棒)」、ワイヤーが自動で出てくる「半自動溶接」、綺麗で精密な
「TIG溶接(アルゴン溶接)」など、目的により方式が異なります。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
鉄骨建築の現場、造船所、自動車工場、設備配管工事、町工場、DIYガレージなど、金属を扱う
あらゆる場所。
具体的な設置位置
火花(スパッタ)が飛び散るため、周囲に可燃物がない、耐火シート(スパッタシート)で
養生されたエリアで使用します。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
金属同士を最も強固に接合できます。
防水・気密性が求められる配管やタンクの製造にも対応できます。
デメリット(短所・弱点)
強烈な紫外線、有毒なガス(ヒューム)、火災や感電のリスクなど、極めて危険が伴うため、
専用の保護具と専門知識(資格)が必要です。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
DIY用の100V機は1万〜3万円。プロ用の200Vインバーター機やTIG溶接機は10万〜50万円以上です。
おおよその相場
- DIY用100Vアーク溶接機:15,000〜30,000円
- プロ用200Vインバーター機:10万〜20万円
- エンジンウェルダー(現場用):30万〜80万円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
本体は10年以上使えますが、ケーブル、トーチ、アースクリップなどの通電部品は劣化・断線する
ため定期的な点検と交換が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
裸眼で溶接の光を見ること
(電気性眼炎になり視力障害の危険)、
雨の中や濡れた手で作業すること
(重大な感電事故)。
悪い使用方法をするとどうなるか
保護マスクなしで光を見ると、夜中に目に砂をすり込まれたような激痛に襲われます
(アーク目)。
また、飛び散る火花で周囲の段ボール等に引火し、現場火災のトップ原因になります。
8. 関連機器・材料の紹介
- グラインダー:溶接前のサビ落としや、溶接後のバリ取りに使用。▶詳細記事はこちら
-
自動遮光面:溶接の光が出た瞬間だけ自動でガラスが暗くなる必須の保護面。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
DIYで溶接はできますか?
100V電源で使える家庭用溶接機(半自動MIG溶接機)なら3〜5万円で購入可能です。
ただし火災防止と換気に十分注意してください。
溶接の光を見ると目が痛くなるのはなぜ?
溶接アークが発する強烈な紫外線が角膜を傷つける「電気性眼炎」です。
溶接面(遮光ガラス付き)なしで絶対に見ないでください。
溶接の種類は何がある?
被覆アーク溶接(手棒)、半自動溶接(MIG/MAG)、TIG溶接、ガス溶接が代表的です。
用途と材質で使い分けます。
火災のリスクはどのくらい?
溶接火花は最大10m飛散します。
周囲の可燃物を撤去し、防炎シートで養生してから作業してください。
消火器の設置も必須です。
溶接作業に資格は必要?
建設現場ではJIS溶接技能者の資格が必要です。
アーク溶接特別教育(学科+実技で2〜3日)の受講が法的に義務付けられています。
アーク溶接とTIG溶接の使い分けは?
鉄骨の現場溶接はアーク溶接(被覆アーク・半自動)が主流。
ステンレスやアルミ、薄板の精密溶接にはTIG溶接を使います。
溶接棒の選定基準は?
母材の材質と板厚で選定します。
軟鋼にはE4316(低水素系)、ステンレスにはD308系が代表的です。
JISZ3211に規定されています。
溶接欠陥を防ぐコツは?
適切な電流値の設定、アーク長の維持、運棒速度の一定化が基本です。
開先の清掃(油・錆の除去)も重要です。
風が強い日の溶接は?
風速2m/s以上ではシールドガスが飛散して溶接品質が低下します。
防風囲いを設置するか、被覆アーク溶接に切り替えてください。
溶接後の検査方法は?
外観検査(ビード形状・アンダーカット・割れ)、超音波探傷試験(UT)、
放射線透過試験(RT)が代表的な非破壊検査です。
鉄骨溶接の品質管理で重要なことは?
溶接施工要領書(WPS)の作成、溶接技能者の資格確認、溶接材料の管理、非破壊検査の
実施が4大管理項目です。
溶接技能者の資格確認は?
JISZ3801等の溶接技能者資格証を確認し、有効期限内であること、対象の
溶接姿勢・板厚に対応していることを確認します。
火気使用許可の手続きは?
所轄消防署への届出が必要な場合があります。
現場では火気使用願を提出し、消火器・防炎シートの配置を確認します。
溶接部の検査頻度は?
完全溶込み溶接は全数UT検査、隅肉溶接は目視検査が基本です。
検査率は設計図書の特記仕様書に従ってください。
雨天時の屋外溶接は?
原則中止です。母材の水分が溶接欠陥(ブローホール)の原因になります。
やむを得ない場合はテント養生の上で実施します。
配管の溶接補修は設備管理者が行える?
溶接作業にはアーク溶接特別教育の修了が最低限必要です。
圧力配管の溶接にはJIS溶接技能者資格が求められるため、有資格の専門業者に
依頼してください。
溶接機の保守管理は?
ケーブルの被覆損傷確認、接続部の緩み確認、冷却ファンの清掃を定期的に行います。
溶接ケーブルの劣化は感電事故の原因になります。
既存鉄骨の補修溶接は可能?
可能ですが、既存部材への入熱による強度低下リスクがあるため、構造設計者の判断を
仰いでから施工してください。
溶接機の寿命は?
業務用で5〜10年が目安です。
出力の不安定、異音、アークの不安定が出たらメーカー点検に出してください。
溶接ヒュームの健康被害は?
金属ヒュームの吸入は塵肺や金属熱の原因になります。
換気の確保と防じんマスクの着用を作業者に徹底してください。