防火ダンパー(FD・SFD)とは?
ダクト内を通る炎や煙を検知して自動的に閉鎖する防火ダンパー

【超解説】とても簡単に言うと何か?

空調ダクトの中に設置された「自動で閉まる扉」です。
火災で温度が上昇すると、温度ヒューズ(72℃で溶ける金属)が溶けて羽根が自動的に閉じ、
ダクトを通じた火や煙の拡散を防ぎます。
防火区画の壁や床をダクトが貫通する箇所には、建築基準法で設置が義務づけられている重要な
防災設備です。

1. 基本概要

防火ダンパーは、空調ダクトが防火区画(耐火壁・耐火床)を貫通する箇所に設置し、火災時に
ダクトを閉鎖して火炎・煙・高温ガスの延焼経路を遮断する防災設備です。
建築基準法施行令第112条に基づき、防火区画を貫通するダクトには原則として防火ダンパーの
設置が義務づけられています。

2. 構造や原理

FD(防火ダンパー)

  • 動作:温度ヒューズ(72℃)が溶断すると、バネの力で羽根が自動的に閉じる。
  • 用途:防火区画貫通部のダクト遮断。
    最も基本的なタイプ。
  • 復帰:手動で羽根を開けてヒューズを交換する。

SFD(防煙防火ダンパー)

  • 動作:温度ヒューズ(72℃)による自動閉鎖に加え、煙感知器との連動で電気的にも閉鎖。
  • 用途:防煙区画のダクト貫通部。
    煙の拡散防止が必要な箇所。
  • 特徴:火災の初期段階(煙の段階)でダクトを遮断できる。

HFD(排煙口用防火ダンパー)

  • 動作:通常時は閉鎖。
    火災時に排煙口の開放と連動してダンパーが開き、排煙ダクトに煙を導く。
    280℃で自動閉鎖。
  • 用途:排煙ダクトの防火区画貫通部。
  • 特徴:ヒューズ温度が280℃と高い(排煙ダクト内は高温になるため)。

温度ヒューズの仕組み

低融点金属(はんだ合金等)で作られた金具で、設定温度(通常72℃)に達すると溶断します。
溶断するとダンパー羽根を開放位置に保持していたロック機構が解除され、内蔵のバネの力で
羽根が瞬時に閉鎖します。

3. 素材・形状・規格

  • 防火区画(面積区画・竪穴区画・異種用途区画)を貫通するダクト
  • 防煙区画を貫通するダクト(SFD)
  • 排煙ダクトの防火区画貫通部(HFD)
  • 厨房排気ダクトの防火区画貫通部
  • トイレ・浴室等の小規模排気ダクトの貫通部

4. 主に使用されている場所

  • オフィスビルの各階防火区画貫通部
  • 商業施設のテナント区画間
  • ホテルの客室間・フロア間
  • 病院の病棟区画間
  • マンションのパイプシャフト
  • 地下駐車場の排気ダクト

5. メリット・デメリット

メリット

  • 火災時にダクトを自動で閉鎖し、延焼を防止する
  • 電源不要(溶融ヒューズ式)のため停電時も確実に作動する
  • 設置が法令で義務化されており、建物の安全性を担保する

デメリット

  • 定期点検(年1回の閉鎖作動確認)が法令で義務づけられている
  • ヒューズが劣化すると誤作動のリスクがある
  • 閉鎖後の復旧作業が必要(手動復帰が多い)

6. コスト・価格の目安

おおよその相場

  • FD(角型・300×300):約10,000〜20,000円
  • FD(丸型・φ200):約5,000〜10,000円
  • SFD(角型・300×300):約20,000〜40,000円
  • HFD(排煙用):約30,000〜60,000円
  • 温度ヒューズ(交換用):約500〜2,000円/個
  • 定期点検費用(1基):約3,000〜8,000円

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

建築基準法に基づく定期検査

特定建築物の防火設備として、建築基準法第12条に基づく定期検査(防火設備検査)の対象です。
防火設備検査員の資格者が年1回検査を実施し、特定行政庁に報告する義務があります。

点検項目

  • 温度ヒューズの状態確認(変形・腐食の有無)
  • ダンパー羽根の開閉動作確認
  • ロック機構の動作確認
  • SFDの煙感知器連動閉鎖試験
  • 閉鎖時の気密性確認
  • 手動復帰操作の確認
【NG事例】防火ダンパーの点検を怠る

長年点検しないと、錆びや異物の挟まりで羽根が閉じなくなる場合があります。火災時にダンパーが機能しなければ、ダクトを通じて他の区画に火災が延焼し、被害が拡大します。
【NG事例】温度ヒューズを針金で固定して閉鎖を妨げる

空調の風量が落ちるからといって、ダンパーの羽根を開放状態で固定すること。防火機能を完全に無効化する極めて危険な行為です。消防から重大な指摘を受けます。

8. 関連機器・材料の紹介

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人目線

防火ダンパーって何?

火災時にダクト内の温度上昇を検知して自動的に閉鎖し、ダクトを通じた延焼を防止する
安全装置です。

普段は何をしている?

通常時はダクト内の空気を通すために開いています。火災時のみ自動で閉まります。

マンションにもある?

はい。防火区画(各階や各住戸の間仕切り)をダクトが貫通する全ての箇所に
設置されています。

メンテナンスは必要?

年1回の作動確認が法令で義務付けられています。錆や汚れで動かなくなることがあります。

閉まったら空調は止まるの?

防火ダンパーが閉鎖すると、その区画への空調は停止します。
火災鎮火後に手動でリセットします。

職人(空調工・防災設備工)目線

温度ヒューズの設定温度は?

一般的には72℃で溶断するヒューズが使われます。
厨房排気では120℃設定のヒューズを使用します。

FDとHFDの違いは?

FD(防火ダンパー)は温度ヒューズのみ。
HFD(風量調整付き防火ダンパー)は風量調整機能も備えています。

SFD(防煙防火ダンパー)とは?

火災感知器と連動して閉鎖し、煙の拡散も防止します。排煙系統のダクトに設置されます。

設置位置の規定は?

防火区画の壁または床の貫通部から1.5m以内に設置します。
ダクトの直線部に設置するのが原則です。

施工時の注意点は?

開閉方向を間違えないこと、可動部にモルタルが付着しないこと、手動復帰レバーが
アクセスできる位置にすることが重要です。

施工管理者目線

施工検査のポイントは?

設置位置(防火区画貫通部)の適合確認、温度ヒューズの設定温度確認、手動・自動での
開閉動作確認を行います。

建築基準法との関係は?

建築基準法施行令第112条で防火区画のダクト貫通部への防火ダンパー設置が
義務付けられています。

消防検査での確認事項は?

防火ダンパーの設置箇所・温度ヒューズの設定温度・感知器連動(SFDの場合)の
動作確認が行われます。

竣工図への記載は?

防火ダンパーの設置位置・型番・温度設定を竣工図に明記し、点検用の台帳を
作成してください。

不合格時の対応は?

動作不良の場合、温度ヒューズの交換、可動部の清掃・注油、駆動装置の修理を行い
再試験してください。

設備管理者目線

定期点検の内容は?

年1回の手動による開閉テスト、温度ヒューズの目視確認、駆動装置の動作確認を
行ってください。

温度ヒューズの交換時期は?

法令上は交換期限の規定はありませんが、10年以上経過したヒューズは交換を推奨します。

閉鎖した場合の復帰方法は?

火災鎮火・安全確認後、手動復帰レバーを操作してダンパーを開放します。
温度ヒューズは新品に交換してください。

点検記録は?

点検日・点検箇所・開閉動作の結果・不具合の有無を記録し、消防点検報告書に
含めてください。

更新時期は?

15〜20年が更新の目安です。腐食・動作不良・部品の入手困難が更新の判断材料です。