フレキシブルジョイントとは?
建物や配管の「動き」を柔軟に受け止める継手
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建物と建物の間や、配管の途中に設ける「柔らかい継ぎ目」です。地震の揺れや温度変化による
伸び縮みを吸収して破損を防ぎます。
1. 基本概要
そもそも何か
フレキシブルジョイントは、構造物や配管の変位(伸縮・振動・角度変化)を吸収するための
可撓性(かとうせい)のある継手です。建築分野ではエキスパンション
ジョイント部の仕上げ材として、設備分野では配管やダクトの防振継手として使用されます。
なぜ必要なのか
建物は地震や温度変化で動きます。異なる構造体が取り合う部分に
可撓性のないジョイントを使うと、変位を吸収できず亀裂や破損が発生します。
フレキシブルジョイントはこの「動き」を柔軟に受け止め、漏水・漏気を防ぎます。
2. 構造や原理
建築用フレキシブルジョイント
エキスパンションジョイント部の床・壁・天井に設置される金属カバーやゴム製のジョイント。
地震時の層間変位(±50mm〜±200mm)を吸収する構造です。スライド式・ヒンジ式・
蛇腹式などがあります。
配管用フレキシブルジョイント
ステンレス製のベローズ(蛇腹管)やゴム製フレキシブル継手で、
配管の熱伸縮・振動・地震変位を吸収します。ポンプやチラーなどの振動機器の接続部に必須。
ダクト用フレキシブルジョイント
空調機やファンの吐出口に取り付けるキャンバス継手(帆布製の可撓継手)で、
振動のダクトへの伝播を遮断します。
3. 素材・形状・規格
ゴム製:EPDM・NBR・CR等。耐候性・耐油性で選定。
ステンレスベローズ:SUS304・
SUS316Lが主流。高温・高圧に対応。
帆布(キャンバス):ガラス繊維入り
耐熱キャンバスが標準。配管用はJIS B 2032(防振継手)、建築用は各メーカーの
耐震性能試験基準に適合。
4. 主に使用されている場所
エキスパンションジョイント部(床・壁・屋根)、ポンプ・チラー・空調機の配管接続部、
送風機・排風機のダクト接続部、建物導入部の配管(建物と地中配管)、
免震建物の配管・ダクトなど。
5. メリット・デメリット
メリット
① 変位吸収:地震・熱伸縮・振動による変位を吸収。
② 防振:機械の振動が
配管やダクトに伝わるのを防止。
③ 施工性:配管の芯合わせの誤差を吸収できます。
デメリット
① 寿命:ゴム製は経年劣化で定期的な交換が必要。
② 耐圧:剛性が低いため
高圧配管には注意が必要。
③ コスト:同口径の剛性継手より高価。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- ゴム製防振継手(50A):
5,000円〜15,000円程度 - ゴム製防振継手(100A):
1万〜3万円程度 - ステンレスベローズ(50A):
2万〜8万円程度 - 建築用EXPジョイントカバー:
1万〜10万円/m程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
ゴム製防振継手は10〜15年で交換が目安です。ステンレスベローズは
条件次第で20年以上使用可能。建築用カバーは10〜20年でゴムパッキン部分を交換。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
フレキシブルジョイントは
変位を吸収するための部品であり、
配管の支持部材ではありません。
前後に適切な固定支持を設け、
ジョイントに軸力や曲げモーメントが
かからないようにしてください。
8. 関連機器・材料の紹介
- エキスパンションジョイント:建物の構造的な可動継手。
▶ 詳細記事はこちら - 配管支持金具:ジョイント前後の固定支持に使用。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
床にある金属のカバーは何?
エキスパンションジョイントのカバーです。建物の異なる構造体の間に設けて
地震時の動きを吸収する部分です。つまずかないようご注意ください。
金属カバーがガタガタする?
経年劣化で固定が緩んだ可能性があります。管理事務所に連絡して修理を依頼してください。
隙間から水が漏れてくる?
ジョイント部のゴムパッキンが劣化すると雨水が侵入します。早めの補修が必要です。
地震の時にジョイント部分は安全?
フレキシブルジョイントは地震の変位を吸収するための設備なので、正常に機能していれば
安全です。大きな地震の後は点検を受けてください。
上を車いすで通れる?
バリアフリー対応のフレキシブルジョイントは段差のないフラット仕様です。
車いすやベビーカーで通行可能です。
配管の防振継手の取付方向は?
メーカーの指定する流れ方向の矢印に従って取り付けます。逆に取り付けると
内部のゴムが反転する恐れがあります。
ボルトの締付けトルクは?
メーカーの指定トルクを守ってください。締め過ぎるとゴム面が
変形して漏水の原因になります。片締めにならないよう対角で均等に締めてください。
固定支持の位置は?
フレキシブルジョイントの直近の両側にガイド支持を設け、その外側に固定支持を
設けるのが基本です。
キャンバス継手の取付方法は?
ダクトフランジにキャンバスをボルトとクランプバンドで固定します。
キャンバスにたるみを持たせて振動を吸収できるようにします。
建築用の施工手順は?
①下地フレームの取付→②ゴム止水板の取付→③金属カバーの取付→④動作確認の順です。
変位追従方向を間違えないこと。
設計変位量の確認は?
構造設計者が算定した層間変位量に基づいてフレキシブルジョイントの
許容変位量を選定します。安全率1.5倍以上を確保してください。
免震建物での注意点は?
免震層での変位は±300mm以上になることがあります。専用の大変位対応型の
フレキシブルジョイントを選定してください。
耐火性能は?
防火区画を貫通する場合は耐火性能を有するジョイントが必要です。
認定品の使用を確認してください。
配管の防振計算は?
ポンプの振動周波数と配管の固有振動数を比較し、共振しないことを確認します。
防振継手の変位吸収量も計算に含めてください。
コスト最適化は?
ゴム製とステンレスベローズの使い分けでコストを最適化します。高温・高圧はステンレス、
常温・低圧はゴム製を選定。
定期点検の内容は?
①ゴムの亀裂・硬化の確認、②ボルトの緩みの確認、③漏水の確認、④変位の偏りの確認を
年1回行ってください。
ゴムの劣化のサインは?
表面のひび割れ・硬化・変色(白っぽくなる)が劣化のサインです。
漏水が始まる前に交換してください。
地震後の点検は?
震度4以上の地震後は全てのフレキシブルジョイントを目視確認してください。
変位が残っている場合や漏水がある場合は即座に対応を。
交換時の注意点は?
配管は水抜き・圧力解放後に作業してください。同一仕様品への交換が基本ですが
廃番の場合はメーカーに相談を。
建築カバーの補修は?
金属カバーの変形は叩き出しや部分交換で対応できます。ゴム止水板の劣化は
全面交換が必要です。