湯沸室・給茶室(パントリー)とは?
一杯のお茶を支える小さな台所 ─ オフィスビルの各階に潜む「ミニキッチン」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
オフィスビルの各階にある
お湯を沸かしたり、お茶を入れたり
カップを洗ったりする小さな部屋です。
ミニシンク(流し台)と
給湯器(電気ポット)があり
社員の休憩や来客用の
お茶出しに使われます。
1. 基本概要
そもそも何か
湯沸室(パントリー)は、給茶・簡易な食事の準備・食器の洗浄を行うための簡易調理スペースです。
ミニシンク、給湯設備、冷蔵庫スペース、カウンターで構成され、各階のコア部分に配置されます。
なぜ必要なのか
来客時のお茶出しや社員の休憩時の飲料準備には、各階に水回りの設備が必要です。
トイレの手洗いで食器を洗うのは衛生上問題があるため、専用の流し台がある湯沸室が求められます。
近年はカフェスペース(リフレッシュコーナー)と一体化するケースも増えています。
2. 構造や原理
基本設備
ミニシンク:幅450〜600mmの小型ステンレスシンク。
給湯器:小型電気温水器(6〜25L)または瞬間式電気給湯器。
水栓:シングルレバー混合水栓。
カウンター:ステンレスまたは人工大理石のワークトップ。
収納:吊戸棚・下部キャビネット(食器・消耗品の保管)。
コンセント:電気ポット・電子レンジ・冷蔵庫用(専用回路)。
排水設備
シンクの排水管は40〜50Aで
PSの雑排水管に接続します。
排水トラップ(S型またはP型)で
下水臭の逆流を防止します。
グリーストラップは不要ですが
ストレーナーで食べかすの
流入を防止します。
3. 素材・形状・規格
面積:3〜8m²(標準4〜6m²)。
シンク:SUS304ステンレス、幅450〜600mm。
給湯器:小型電気温水器(6〜25L、100V、1.1〜1.5kW)。
排水管:40〜50A。
換気:換気回数5〜10回/h。
床仕上げ:長尺シートまたはタイル(耐水性)。
電源:専用20A回路×2系統以上。
4. 主に使用されている場所
オフィスビルの各階コア部分、
ホテルの各階サービスエリア、
病院のスタッフステーション付近、
学校の職員室付近、
マンションの共用ラウンジ、
工場の事務所エリア。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
利便性:各階で飲料の準備・食器の洗浄ができ、移動の手間を省けます。
衛生:トイレと分離した専用の洗い場で、食器洗いの衛生を確保できます。
来客対応:会議室に近い位置に配置することで、来客時のお茶出しがスムーズです。
デメリット(短所・弱点)
臭気:排水トラップの封水切れや食べかすの腐敗で臭気が発生することがあります。
害虫リスク:食品を扱うため、ゴキブリ等の害虫が発生するリスクがあります。
漏水リスク:給排水設備の劣化で下階への漏水事故が発生する可能性があります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- ミニキッチンユニット(シンク+カウンター): 10万〜30万円程度
- 小型電気温水器(6〜25L): 3万〜10万円程度
- 湯沸室内装工事(1室): 30万〜80万円程度
- 給排水配管工事: 10万〜30万円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
小型電気温水器は10〜15年。
シンク・水栓は15〜20年。
排水管は20〜30年。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
油脂や食べかすを
シンクに流すと排水管内で
固着して詰まりの原因に
なります。
油はペーパーで拭き取り
食べかすはゴミ箱に捨ててから
食器を洗ってください。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
排水管の詰まりでシンクから汚水が逆流し、床面が冠水します。
下階への漏水事故に発展し、天井・壁の修繕に数十万〜百万円の費用が発生します。
8. 関連機器・材料の紹介
- 小型電気温水器:
湯沸室に設置する給湯設備。
▶ 詳細記事はこちら - SK室:
清掃用の流し台がある部屋。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
湯沸室とパントリーは違う?
ほぼ同じ意味です。「湯沸室」は日本語表記、「パントリー」は英語表記です。
最近は「リフレッシュコーナー」と呼ぶオフィスも増えています。
電子レンジや冷蔵庫は置ける?
専用回路のコンセントがあれば設置可能です。
たこ足配線は火災の原因になるため、容量を確認してから設置してください。
臭いが気になるときは?
排水トラップの封水切れが原因の場合は、水を流して封水を補充してください。
換気扇が止まっている場合は管理会社に連絡してください。
ゴキブリが出るのはなぜ?
食べかすや水気が害虫を引き寄せます。
使用後はシンク周りを清掃し、食品は密閉容器に保管してください。
お湯が出ないときは?
小型電気温水器の電源スイッチの確認、ブレーカーの確認を行ってください。
タンク式の場合は貯湯量を使い切った可能性があります(回復に30分〜1時間)。
給湯器の選定は?
使用人数に応じて6L(5〜10人)〜25L(20〜50人)のタンク容量を選定します。
瞬間式は大量使用には不向きですが省スペースです。
排水の接続は?
シンク排水はPSの雑排水管に合流接続します。
排水勾配1/50以上を確保してください。
電源回路の設計は?
温水器用(1.5kW)、電子レンジ用(1.5kW)、冷蔵庫用をそれぞれ専用20A回路で計画してください。
換気扇の設置は?
臭気防止のため天井換気扇を設置し、換気回数5〜10回/hを確保してください。
防水処理は必要?
SK室ほどの防水は不要ですが、シンク下の防水パンまたは防水シートの施工を推奨します。
配置の原則は?
PSに隣接し、給排水管の接続が容易な位置に配置してください。
会議室やオフィスに近い位置が利便性の面で望ましいです。
テナント工事との関係は?
基準階の湯沸室は共用部として設計し、テナント専用のパントリーは内装工事で対応します。
IHクッキングヒーターは設置できる?
消防法上、オフィスビルの湯沸室で火気使用は制限されることがあります。
電気設備(IH)は可能ですが、消防署への確認を推奨します。
カフェスペースとの一体化は?
近年のオフィス設計ではパントリーとカフェスペースを一体化し、コミュニケーション促進を図る設計が増えています。
遮音対策は?
シンクの水音や電子レンジの音が会議室に伝わらないよう、間仕切り壁の遮音性能を確保してください。
排水管の清掃頻度は?
年1回以上の排水管洗浄(高圧洗浄)を推奨します。
詰まりの兆候(排水が遅い)があれば早めに対応してください。
温水器の点検は?
年1回の動作確認と漏水点検を実施してください。
安全弁からの水滴は正常動作ですが、連続して流れる場合は故障です。
害虫対策は?
年2回の害虫駆除を推奨します。
日常的にはシンク周りの清掃とゴミの即時撤去を徹底してください。
利用ルールの掲示は?
「使用後はシンクを清掃」「油を流さない」「食品は冷蔵庫に保管」などのルールを掲示してください。
漏水時の対応は?
止水栓を閉めて応急処置し、配管業者に連絡してください。
下階への影響を確認し、被害があれば直ちに報告してください。