ガラスマットとは?
樹脂を強靱にする「FRPの骨格」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
ガラスの繊維を短く切ってランダムに敷き詰めたシート状の材料です。液体の樹脂を染み込ませて
固めるとFRP(繊維強化プラスチック)という強い材料になります。
1. 基本概要
そもそも何か
ガラスマット(チョップドストランドマット / CSM)は、ガラス繊維を50mm程度に
切断してランダム方向に分散させ、バインダーで薄いシート状に成形した補強材です。
不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂に含浸させてFRPの補強層を形成します。
なぜ必要なのか
樹脂単体では脆く割れやすいですが、ガラスマットで補強することで引張強度・曲げ強度が
飛躍的に向上します。鉄筋がコンクリートを補強するのと同じ原理です。
2. 構造や原理
チョップドストランドマット(CSM)
50mm程度に切断したガラス繊維をランダムに分散させたマット。全方向に均等な強度を持ちます。
FRP防水で最も一般的に使われます。目付量(単位面積あたりの重量)は300〜600g/㎡が標準。
ロービングクロス
ガラス繊維を織物状にしたもの。CSMより強度が高いですが樹脂の含浸性はやや劣ります。
高い強度が必要な場所に使用。
サーフェスマット
非常に薄い(30〜50g/㎡)マット。FRP防水層の最上面に使い表面の平滑性を高めます。
3. 素材・形状・規格
素材:Eガラス(電気用ガラス)が主流。耐アルカリ性が必要な場合はARガラスを使用。
形状:ロール巻き(幅1m×長さ50m等)。
目付量:#300(300g/㎡)、
#380(380g/㎡)、#450(450g/㎡)が標準。
規格:JIS R 3411
(ガラス繊維マット及びロービング)。
4. 主に使用されている場所
バルコニー・ベランダのFRP防水、屋上防水(FRP工法)、浴槽・シャワーパンの製造、
貯水槽・浄化槽の製造、船舶の船体製造、自動車のエアロパーツ製造、
化学プラントの耐食ライニング。
5. メリット・デメリット
メリット
① 等方性:ランダム配向で全方向に均等な強度。
② 含浸性:樹脂が染み込みやすく施工性が良好。
③ 成形性:曲面や角部にも追従して貼れます。
デメリット
① 強度:織物に比べると一方向の強度は低い。
② 厚み:厚い層を作るには重ね貼りが必要。
③ 取り扱い:ガラス繊維が皮膚に刺さってかゆくなる。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- #300(300g/㎡・1m×50m):
5,000円〜10,000円/ロール - #450(450g/㎡・1m×50m):
7,000円〜15,000円/ロール - ロービングクロス:
8,000円〜20,000円/ロール - サーフェスマット:
3,000円〜8,000円/ロール
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
ガラスマット自体は保管品で使用期限はありませんが、吸湿すると樹脂の含浸性が低下するため、
開封後は乾燥した場所で保管してください。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
湿ったガラスマットに樹脂を
含浸させると、水分が
硬化反応を阻害し
白化(ブリスター)や
層間剥離の原因になります。
雨に濡れたマットは廃棄し、
新しいものを使ってください。
8. 関連機器・材料の紹介
- FRP防水:ガラスマットを使う防水工法。
▶ 詳細記事はこちら - 不飽和ポリエステル樹脂:マットに含浸させる母材。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
ベランダの下に見える白い繊維は何?
FRP防水層の中のガラスマットです。トップコートが劣化して繊維が露出している状態で、
早めの塗り替えが必要です。
ガラス繊維は危険?
硬化した後のFRP層からはガラス繊維が飛散しません。施工中の未硬化状態では
皮膚に刺さることがあります。
FRP防水の厚みは?
ガラスマット2層で約2〜3mmの防水層になります。この薄さでも十分な強度と
防水性能があります。
FRP防水はどこに使える?
バルコニー・ベランダ・屋上・浴室など水を防ぎたい場所全般に使用できます。
繊維が見えたらすぐ修理?
緊急ではありませんが放置すると雨水が浸入し下地の劣化が進みます。早めにトップコートを
塗り替えてください。
#300と#450の使い分けは?
#300は平面や勾配のある部分、#450は強度が必要な部分(立上り・排水口周り)に使います。
2層積層が標準仕様です。
重ね幅は?
マットの重ね幅は50mm以上。重ね部分に隙間ができるとその部分から漏水します。
角部の処理は?
入隅・出隅には先にマットを小さく切って増し貼りし、その上から全面のマットを
かぶせます。角のR処理も必要。
マットの裁断方法は?
カッターナイフまたは布裁ちバサミで裁断。直線はカッター、曲線はバサミが便利です。
かゆみの防止策は?
長袖・長ズボン・手袋着用で肌の露出を防いでください。作業後はすぐにシャワーを浴び、
擦らずに洗い流してください。
積層の仕様確認は?
設計図書で指定されたマットの番手と積層数を確認。一般的には#380×2層が標準。
防水保証の条件にもなります。
受入検査のポイントは?
ロットごとにJIS適合証明書を確認してください。目付量のばらつきが
防水層の品質に直結します。
保管場所の条件は?
屋内の乾燥した場所で直射日光を避けて保管。床から浮かせてパレット上に置いてください。
膜厚の検査は?
硬化後にエルコメーター等で乾燥膜厚を測定します。設計膜厚以上であることを
確認してください。
密着確認の方法は?
硬化後にFRP層を指で叩き浮きがないか確認します。浮いている箇所は中空音がします。
FRP防水の劣化パターンは?
①トップコートの退色・チョーキング、②ガラス繊維の露出、③ひび割れ・膨れ、
④層間剥離の順に進行します。
補修用マットの保管は?
補修用に少量を保管する場合は密閉できるビニール袋に入れ
乾燥剤と一緒に保管してください。
部分補修の手順は?
①損傷箇所を研磨、②プライマー塗布、③樹脂+マットの積層、④トップコート塗布の順。
排水口周りの補修は?
排水口の周囲は特に劣化しやすく、マットの増し貼りで補強します。排水ドレンとの取合いは
シーリング処理も必要です。
廃棄方法は?
未使用のガラスマットはガラスくず類として産業廃棄物で処分。
FRP廃材は廃プラスチック類です。