スプリンクラーヘッドとは?
火災を感知して自動で散水する「天井の消火員」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
天井についている小さな金属の装置で、火事になると熱で自動的に開いて
水をまいて火を消します。人が操作しなくても勝手に動いてくれるので
初期消火にとても有効です。
1. 基本概要
そもそも何か
スプリンクラーヘッドは、スプリンクラー設備の末端に設置される散水装置です。
火災時の熱でヘッド内の感熱部(ヒュージブルリンクやグラスバルブ)が溶融・破裂し、
配管内の加圧水が放出されて自動的に散水・消火を行います。
なぜ必要なのか
消防法・消防法施行令で一定規模以上の建築物にはスプリンクラー設備の設置が
義務付けられています。火災発生から散水開始まで約1〜3分と非常に速く、
初期消火成功率は約96%と極めて高い効果があります。
2. 構造や原理
閉鎖型ヘッド
最も一般的なタイプ。常時は感熱部でフタをして水を止め、火災の熱(72℃が標準作動温度)で
感熱部が溶融すると水が放出されます。火災が発生した場所のヘッドのみ作動するのが特徴です。
開放型ヘッド
感熱部がなく常時開放された構造。感知器が火災を検知すると一斉開放弁が開いて
全ヘッドから同時に散水します。劇場の舞台部や大型倉庫に使用。
感熱部の種類
グラスバルブ型:ガラス管内の液体が熱膨張して破裂。色で作動温度を識別(赤=68℃、
黄=79℃、緑=93℃など)。
ヒュージブルリンク型:低融点合金のリンクが溶融して開放。
3. 素材・形状・規格
本体:黄銅製またはステンレス製。
デフレクター:水を拡散させる板。
上向き型・下向き型・フラッシュ型(天井面とフラット)がある。
口径:呼び15(1/2インチ)が標準。消防法施行規則・消防庁告示で技術基準が定められ、
検定品の使用が義務付けられています。
4. 主に使用されている場所
オフィスビル・デパート・ホテル・病院・福祉施設、地下街・駅ビル・空港、
マンション(11階以上)、大規模倉庫・工場、劇場・映画館の舞台部など。
5. メリット・デメリット
メリット
① 自動消火:人が不在でも自動で初期消火を行います。
② 高い成功率:初期消火成功率は約96%。
③ 局所散水:閉鎖型は火災箇所のみ散水し水損を最小化。
デメリット
① 水損:散水による書類・電子機器への被害。
② コスト:配管工事を含め設備コストが高い。
③ 誤作動:物理的な衝撃でヘッドが破損すると漏水。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 閉鎖型ヘッド(標準型):
1,000円〜3,000円/個程度 - フラッシュ型(コンシールド):
3,000円〜8,000円/個程度 - 取付工事費(配管込み):
1万〜3万円/個程度 - 設備全体(中規模ビル):
数百万〜数千万円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
消防法では設置後20年でヘッドの交換が義務付けられています(2009年の法改正)。
交換後は10年ごとに再交換。腐食環境ではより短い周期で交換が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
スプリンクラーヘッドに洋服や
ハンガーを掛けたり、
脚立をぶつけたりすると
グラスバルブが破損して
大量の水が噴出します。
1個のヘッドから毎分80L以上の
水が出続け、甚大な水損被害になります。
8. 関連機器・材料の紹介
- スプリンクラー設備:ヘッドを含む消火設備全体。
▶ 詳細記事はこちら - システム天井:ヘッドを組み込む天井。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
煙で作動する?
いいえ、スプリンクラーヘッドは「熱」で作動します。煙で作動するのは煙感知器です。
タバコの煙や料理の煙ではスプリンクラーは作動しません。
全部のヘッドが同時に出る?
閉鎖型の場合、火災が発生した場所のヘッドだけが作動します。
映画のように全部のヘッドから一斉に水が出ることはありません。
水が出てきたらどうする?
まず避難してください。管理事務所や消防署に連絡し、制御弁の操作は
専門家に任せてください。
赤いガラスは何?
グラスバルブという感熱部です。中の液体が熱膨張するとガラスが割れて水が出ます。
絶対に触らないでください。
マンションにも付いている?
11階以上の高層マンションにはスプリンクラーの設置が義務付けられている場合があります。
取付高さの基準は?
デフレクター面が天井面から下方300mm以内に設置します。フラッシュ型は天井面と
フラットに設置します。
配管の種類は?
配管用炭素鋼鋼管(SGP)またはステンレス鋼管(SUS)を使用。
継手はねじ込み式またはグルービング。消防検定の適合品を使用します。
水圧試験は?
配管完了後に1.4MPa以上で2時間の水圧試験を行います。漏水がないことを確認して
消防検査に臨んでください。
養生の注意点は?
内装工事中はヘッドに保護キャップを取り付けて物理的損傷を防いでください。
塗装時のマスキングも必要です。
巻出し配管の施工は?
主管から分岐してヘッドまで立ち下げる巻出し配管はフレキ管を使用できます。
ただし認定品に限ります。
ヘッドの配置基準は?
閉鎖型は防護面積に基づき1個あたり最大13㎡(耐火構造の場合は21㎡)。
壁からの距離も規定されています。
免除区画はある?
便所・浴室・階段・EV昇降路などは設置免除となります。電気室はガス消火設備で
代替する場合があります。
消防検査のポイントは?
①ヘッドの種類と配置間隔、②配管の耐圧試験結果、③末端試験弁の放水試験、
④アラーム弁の作動確認を消防署の立会いで行います。
コンシールド型の注意点は?
天井と面一のデザインですがカバーの作動温度がヘッド本体より低く設定されています。
カバーが先に脱落してからヘッドが作動する二段階構造です。
設計図書の確認事項は?
①ヘッドの種類・作動温度、②配管径と配管ルート、③水源の水量と水圧、
④ポンプ性能を確認してください。
定期点検の内容は?
消防法で6ヶ月に1回の機器点検、1年に1回の総合点検が義務です。ヘッドの外観確認、
末端試験弁での放水試験を行います。
ヘッドの交換時期は?
設置後20年で全数交換が必要です。腐食・変色・漏水がある場合は即座に交換してください。
誤作動した場合は?
制御弁(仕切弁)を閉じて散水を停止します。その後消防署に通報し、
原因究明と復旧を行ってください。
ヘッド周辺の障害物は?
ヘッドの下方450mm以内に棚や配管などの障害物があると散水パターンが乱れます。
定期的に確認してください。
凍結対策は?
寒冷地や駐車場では乾式スプリンクラーや予作動式スプリンクラーを
採用して凍結を防ぎます。