天井システム(システム天井)とは?
照明・空調・仕上げを一体化した合理的天井
【超解説】とても簡単に言うと何か?
大きなオフィスビルなどで、天井が四角いマス目(格子状)になっていて、そこに照明や
エアコンの吹き出し口がパズルのように綺麗に組み込まれている天井のことです。
レイアウト変更の際に、マス目を外して照明やエアコンの場所を簡単に移動できるという、巨大な
レゴブロックのような便利な仕組みを持っています。
1. 基本概要
そもそも何か
システム天井とは、天井の「骨組み(下地材)」、「仕上げ材(ボード)」、そして「設備機器
(照明、空調吹出口、スプリンクラー、感知器など)」を、あらかじめ規格化されたモジュール
(寸法の基準)に合わせて一体的に構築する天井工法のことです。
なぜ必要なのか
オフィスビルでは、テナントの入居や部署の配置換えによって「ここに会議室を作りたいから
照明と空調を移設したい」という要望が頻繁に発生します。
従来のように石膏ボードを切り刻んでやり直すのではなく、パネルを入れ替えるだけで
スピーディかつ低コストにレイアウト変更へ対応するために開発されました。
2. 構造や原理
グリッドとモジュール
上階のコンクリート床(スラブ)から吊りボルトを下ろし、アルミやスチール製の「Tバー」と
いう骨組みを格子状(グリッド状)に組み立てます。
このグリッドのサイズは600mm角や640mm角が主流です。
作動原理や設置の仕組み等
格子状の骨組みの上に、岩綿吸音板(天井ボード)や、同サイズの照明器具、空調の制気口を
ポンポンとはめ込んで(乗せて)いきます。
各設備は天井裏でフレキシブルな配管やコネクタ付きケーブルで接続されているため、マス目ごと
自由に位置を入れ替えることができます。
3. 種類と分類
ライン型(ライン方式)
照明や空調を細長い一直線のライン上に集約し、その間に大きな天井ボードを配置する方式です。
空間がスッキリと見え、意匠性が高いため近年の新築オフィスで最も人気があります。
グリッド型(十字交差方式)
正方形のマス目を天井全面に張り巡らせるオーソドックスな方式です。
どの位置にでも間仕切り壁を立てたり、照明を移動させたりできるため、フレキシビリティ
(可変性)が最も優れています。
4. 素材と特徴
岩綿吸音板(ロックウールボード)
システム天井のパネルとして最も使われる素材です。
軽量で加工しやすく、吸音性に優れているためオフィスの反響音を抑え、断熱や不燃性(火災に
強い)という特徴も備えています。
金属パネル
駅のコンコースや病院などで使われる、アルミやスチール製のパネルです。
耐久性が高く、清掃が容易で、シャープで近代的なデザインを演出できます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
最大のメリットは「メンテナンス性と可変性」です。
パネルを持ち上げるだけで広大な天井裏にアクセスでき、配線工事や機器の修理が容易です。
間仕切り壁の変更時も、天井を破壊することなく対応できます。
デメリット(短所・弱点)
導入時の初期コストが「在来工法(石膏ボード+クロス張りなど)」に比べて高額になります。
また、格子状のラインが視界に入るため、住宅のようなシームレスでフラットな天井を求める
空間には不向きです。
6. コスト・価格の目安
システム天井は、初期費用は在来天井に比べて高額ですが、将来のレイアウト変更時のコストを
抑えられるのが特徴です。
おおよその相場(1平米あたり)
- グリッド型システム天井(骨組み+岩綿パネル):15,000円〜20,000円程度
- ライン型システム天井(意匠性高):20,000円〜25,000円程度
- 照明・空調などの設備機器:別途費用
合計目安:在来天井(約1万円未満/㎡)の1.5倍から2倍以上のコスト
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
システム天井の骨組み自体の寿命は建物の寿命と同じく約30年〜50年ですが、組み込まれている
設備機器の更新が必要です。LED照明は約10年、空調機は約15年が目安です。
天井パネル(岩綿吸音板)は汚れが目立ってきたタイミングで適宜交換します。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
天井裏で配線工事などを行う際、システム天井の格子状の骨組み(Tバー)を足場代わりに踏んだり、重い資材をぶら下げたりするのは絶対NGです。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
Tバーはあくまでパネルと軽量な機器を支えるためのもので、人の体重には耐えられません。
曲がったり歪んだりすると、最悪の場合、天井全体が一気に崩落する大事故に直結し、復旧に
莫大な費用と期間がかかります。
8. 関連機器・材料の紹介
システム天井とセットで組み込まれる設備機器や部材をご紹介します。
-
岩綿吸音板:システム天井のパネルとして最も多用される、吸音性・断熱性・不燃性に優れた
ボードです。※詳細記事は作成次第リンクします -
アネモスタット(制気口):システム天井のグリッドにはめ込まれる、空調の風を放射状に
吹き出すための吹き出し口です。※詳細記事は作成次第リンクします
9. 多角的なQ&A(20連発)
普通の家の天井と何が違うのですか?
住宅はボードをビスで固定してクロスを貼りますが、システム天井は骨組みにパネルを
乗せているだけです。
地震の時にパネルが落ちてきませんか?
専用のクリップで固定されているため、震度6程度の揺れでも落下しにくい構造に
なっています。
オフィスの自分の席の上が暑いので、空調の風向を変えられますか?
はい、パネル状の制気口であれば、向きを調整したり、位置を隣のマスに移動させる
ことも可能です。
天井から黒い粉やホコリが落ちてきました。
空調のフィルター汚れか、天井裏の気流で舞ったホコリが隙間から落ちてきた可能性が
あります。
防音効果はありますか?
パネル(岩綿吸音板)が話し声やパソコンのタイピング音を吸収し、静かな環境を作ります。
Tバーの組み立てで最も重要な工程は?
レーザー墨出し器を使った精密な水平出し(レベル調整)と、通りの直線性を確保する
ことです。
天井ボード(岩綿吸音板)を切断するコツは?
カッターを寝かせずに立てて、定規に当てて数回に分けて軽く切り込みを入れると
ボロボロ崩れません。
照明器具を取り付けるタイミングは?
骨組みが完了した直後です。
器具が組み込まれることでグリッド全体の強度と歪みが固定されます。
耐震クリップの付け忘れを防ぐには?
パネルをはめ込む人とクリップを留める人で作業を分担し、目視検査を徹底します。
天井裏で作業中、Tバーに乗っても大丈夫ですか?
絶対にダメです。人の体重を支える設計ではないため、曲がって天井全体が崩落します。
システム天井の割付(レイアウト)で優先すべきは?
建物の柱や窓枠との「芯合わせ」です。
ここがズレると半端なサイズのパネルが生まれ見栄えが悪くなります。
各サブコン(電気・空調)との調整会議の議題は?
配管やケーブルのルート、天井裏の有効高さの確保、パネルと器具の納まり確認です。
工期短縮のためにシステム天井を採用する価値は?
パテ処理やクロス貼りの工程がまるごと無くなるため、大幅な工期短縮が期待できます。
「特定天井」に該当した場合の影響は?
ブレースやクリアランスの確保など厳格な耐震設計が求められ、材料費と施工費が跳ね
上がります。
余った岩綿パネルはどう処理しますか?
将来のテナント入退去時の補修・交換用として、一定枚数をビル側に「保管品」として
引き渡します。
天井裏の漏水を確認したいのですが、パネルの開け方は?
パネルを両手で少し上に押し上げ、斜めにずらしながら下ろせば簡単に外れます。
古い照明を最新のLED器具に交換できますか?
はい、既存のグリッド寸法(600角など)に適合するLED照明器具ユニットが各社から
販売されています。
天井パネルにシミができました。部分交換は可能?
可能です。汚れた1枚だけを外し、予備の新品パネルと入れ替えるだけで美観が回復します。
間仕切り壁を新設したら、空調が効かなくなりました。
壁で気流が遮断されたためです。
空調の吹き出し口のパネルを移動させ、冷気が回るように調整します。
防災設備(感知器やスプリンクラー)の位置変更で注意することは?
消防法の設置基準(半径や壁からの距離)を満たしているか、移設後に消防署の
検査・届出が必要です。