鉄骨(H鋼・C型鋼・角型鋼管)とは?
S造・SRC造の骨格を支える構造用鋼材のすべて

【超解説】とても簡単に言うと何か?

建物の骨組みに使われる鉄の柱や梁のことです。
木造の柱が木でできているように、ビルや工場の柱や梁は「鉄骨」でできています。
軽くて強く、大きな空間を作れるのが最大の特徴です。

1. 基本概要

鉄骨造(S造)とは

鉄骨造(Steel構造=S造)は、柱や梁などの骨組みに鋼材(鉄骨)を使用する建築構造です。
工場・倉庫・オフィスビル・体育館など、大スパン(広い空間)が必要な建物に多く
採用されます。RC造(鉄筋コンクリート造)に比べて軽量で、施工スピードが速いのが特徴です。

鉄骨の種類

鉄骨は断面の形状により、用途が明確に分かれます。

  • H形鋼(エイチがたこう):断面がHの形。
    梁(はり)に最も多く使われる定番鋼材
  • C形鋼(シーがたこう):断面がCの形。軽量鉄骨の母屋(もや)や胴縁に使用
  • 角形鋼管(かくがたこうかん):四角い筒状。
    中高層ビルの柱に多用される
  • 丸鋼管:円筒状。
    トラス構造や意匠性の高い建物に使用
  • I形鋼・溝形鋼:補助的な部材やブレース(筋かい)に使用

2. 仕組みと分類

重量鉄骨と軽量鉄骨

鋼材の板厚によって大きく2つに分類されます。

  • 重量鉄骨(板厚6mm以上):中高層ビル・大規模施設に使用。
    ラーメン構造が主流
  • 軽量鉄骨(板厚6mm未満):住宅・小規模店舗に使用。
    ブレース構造が主流

接合方法

鉄骨同士の接合方法は大きく3種類あります。

  • 高力ボルト接合:現場施工の主流。
    ボルトを強力に締めて摩擦力で固定する
  • 溶接接合:工場での接合が主流。
    鉄を溶かして一体化させる最強の接合
  • 併用接合:工場で溶接、現場でボルト接合を組み合わせる最も一般的な方法

耐火被覆の必要性

鉄骨は約600℃で強度が急激に低下するため、火災時に倒壊しないよう耐火被覆材
(ロックウール吹付け・耐火板・耐火塗料など)で保護する必要があります。建築基準法により、
3階建て以上の建築物では耐火構造が求められます。

3. 施工の流れ

鉄骨工事の基本フロー

  1. 工場製作:図面に基づき鋼材を切断・穴あけ・溶接して部材を製作
  2. 検査:超音波探傷試験(UT検査)等で溶接品質を確認
  3. 搬入:トレーラーで現場へ搬入
  4. 建方(たてかた):クレーンで吊り上げ、ボルトで仮締め
  5. 本締め:高力ボルトをトルクレンチで規定トルクに本締め
  6. 現場溶接:必要な箇所を現場で溶接
  7. 耐火被覆:ロックウール等を吹き付けて耐火性能を確保

4. 注意点・法規制

【重要】鉄骨工事のNG行為
・高力ボルトを規定トルク未満で締めること(ボルトの緩みで倒壊事故の原因になる)
・溶接部の検査(UT検査)を省略すること(内部欠陥の見逃しは致命的)
・耐火被覆の厚さが不足した状態で検査を通そうとすること
・建方作業中に安全ネット・親綱を張らずに高所作業を行うこと

5. 多角的なQ&A

一般の方向け

鉄骨造(S造)とはどんな建物ですか?

柱や梁などの骨組みに鉄骨(鋼材)を使用した建物です。
鉄筋コンクリート造(RC造)に比べて軽量で、大きな空間を作りやすいため、工場、
倉庫、事務所ビル、商業施設などに広く使われています。

鉄骨造と鉄筋コンクリート造(RC造)の違いは?

鉄骨造は鋼材のフレーム構造で、軽量・大スパン・短工期がメリットです。
RC造はコンクリートと鉄筋の複合構造で、耐火性・遮音性・耐久性に優れます。
SRC造は両方を組み合わせた構造です。

鉄骨造の住宅はどのくらいの費用ですか?

軽量鉄骨造の住宅で坪単価50〜80万円、重量鉄骨造で60〜100万円が目安です。
木造住宅(坪単価40〜70万円)と比べるとやや高めですが、大空間や3階建て以上の
住宅で強みを発揮します。

鉄骨造は地震に強いですか?

鉄骨は靭性(粘り強さ)に優れるため、大地震でも完全に崩壊せず変形しながら
エネルギーを吸収します。
ただし、接合部の溶接品質や筋交い(ブレース)の配置が耐震性能を大きく左右します。

鉄骨造の建物は錆びませんか?

鉄骨は錆びる材料のため、防錆塗装(JIS規格の錆止めペイント)を施すことが必須です。
屋外に露出する鉄骨は定期的な塗装更新(10〜15年ごと)が必要です。
溶融亜鉛めっき処理をすれば40年以上の耐久性が期待できます。

業界関係者向け

H形鋼とI形鋼の使い分けは?

H形鋼はフランジ幅が広く断面性能に優れ、柱・梁の主要構造材として最も使用されます。
I形鋼はフランジが狭く、根太や二次部材として使用します。
現在の建築構造ではH形鋼が圧倒的に主流です。

高力ボルト接合と溶接接合の使い分けは?

高力ボルト接合は現場施工が容易で品質管理がしやすく、仕口部の梁フランジ以外で広く
使用されます。
溶接接合は剛接合が実現でき梁端部のフランジ接合に使用されますが、溶接工の技量と
非破壊検査が品質を左右します。

耐火被覆の種類と選定基準は?

①吹付けロックウール(最も普及、コスト低)、②耐火板巻き(けい酸カルシウム板等、
意匠性良)、③巻付け耐火被覆(シート状、施工性良)、④耐火塗料(鉄骨の意匠を
活かせる)が主な種類です。要求耐火時間と部位により選定します。

鉄骨工事における建方精度の管理基準は?

JASS6(日本建築学会)では、柱の建入れ精度は高さの1/1000以下かつ10mm以下、柱脚の
アンカーボルトの位置精度は±5mm以内が標準です。
トランシットやレーザー測量器で常時確認しながら建方を進めます。

デッキプレートの役割と種類は?

鉄骨造の床スラブを構築する際に、コンクリートの型枠兼引張鉄筋として機能する鋼製の
波板です。フラットデッキ(床型枠のみ)と合成デッキ(構造部材として一体化)があり、
工期短縮と省力化に寄与します。