スタッドボルト・溶接スタッドとは?
溶接の火花が一瞬。鋼材にボルトを「生やす」画期的な接合技術
【超解説】とても簡単に言うと何か?
スタッドボルトは、鉄骨の表面に「溶接で直接くっつける」ボルトです。
専用のスタッド溶接機で一瞬(約1秒)の放電溶接を行い、ボルトを鋼材と一体化させます。
穴を開ける必要がなく、片面からの作業で完了するのが最大の特長です。
1. 基本概要
そもそも何か
頭付きスタッド(シアコネクター)は、鉄骨の梁の上面に溶接で植え付ける短いボルトです。
この頭が、上に打設されるコンクリートスラブの中に埋まることで、
鉄骨とコンクリートを一体化させる「ずれ止め」の役割を果たします。
なぜ必要なのか
鉄骨造の建物では、梁の上にデッキプレートを敷いてコンクリートを流して床を作ります。
スタッドがないと、コンクリート床と鉄骨梁がバラバラに動いてしまい、
「合成梁」としての強度が発揮されません。
2. 構造や原理
スタッド溶接の原理
スタッドガンのチャックにボルトをセットし、鋼材に押し当ててトリガーを引きます。
ボルト先端と鋼材の間にアーク放電が発生し、両方の金属が一瞬で溶融。
溶融した金属が冷えて凝固し、ボルトと鋼材が溶接されて一体化します。
シアコネクターとしての機能
頭付きスタッドの「頭」がコンクリート内でアンカー効果を発揮し、
鉄骨梁とコンクリートスラブ間の「ずれ(せん断力)」に抵抗します。
3. 素材・形状・規格
種類
・頭付きスタッド(ネルソンスタッド):φ16〜φ22、長さ80〜150mm。合成梁用。
・ネジ付きスタッド:先端にオネジがあり、後からナットで部品を固定できる。
・ピンスタッド:保温材やダクトの固定用の細いピン。
JIS B 1198で頭付きスタッドの形状・寸法が規定されています。
4. 主に使用されている場所
鉄骨造の床構造
鉄骨梁の上フランジに頭付きスタッドを溶接し、デッキプレートと合成スラブを
鉄骨と一体化させる「合成梁構造」で使用されます。
その他
鉄骨柱の耐火被覆の固定、金属外壁パネルの取付け、
保温材の固定ピンとしても使用されます。
5. メリット・デメリット
メリット
1本あたり約1秒で溶接完了し、大量施工に適しています。
穴あけ不要のため部材の断面欠損がなく、構造強度を維持できます。
デメリット
専用のスタッド溶接機(高価)が必要です。
鋼材表面の錆・塗装・水分があると溶接不良が発生します。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 頭付きスタッドφ16×100(100本):5,000〜8,000円
- 頭付きスタッドφ19×100(100本):6,000〜10,000円
- スタッド溶接施工費:150〜300円/本(施工費込み)
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
コンクリートに埋設されるため、通常は建物寿命と同じです。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
水分が溶接中に蒸発してブローホール(気泡)が発生し、溶接強度がゼロになります。
悪い使用方法をするとどうなるか
溶接不良のスタッドは手で叩くと簡単に折れます。
そのまま放置すると床スラブと鉄骨が一体化せず、地震時に床が崩落します。
8. 関連機器・材料の紹介
9. 多角的なQ&A(20連発)
スタッドボルトって何?
鉄骨に溶接で直接くっつけるボルトです。
穴を開けずに片面から固定できるのが特長です。
なぜ鉄骨にボルトを溶接するの?
鉄骨とコンクリート床を一体化させる「ずれ止め」のためです。
これがないと床と梁がバラバラに動いてしまいます。
DIYで使える?
専用のスタッド溶接機が必要で、一般家庭では使いません。
プロの鉄骨工事専用の技術です。
1秒で溶接できるって本当?
はい。アーク放電による瞬間溶接で約0.5〜1.5秒で完了します。
大量施工に適しています。
溶接の品質はどう確認する?
ハンマーで15°まで曲げて折れないか(曲げ試験)で確認します。
折れた場合は溶接不良です。
スタッド溶接に資格は必要?
JIS Z 3410に基づくスタッド溶接技能者の資格が推奨されます。
デッキプレートの上からでも溶接できる?
はい。デッキプレートを貫通してH鋼に溶接する「デッキ貫通溶接」が一般的です。
スタッドの間隔は?
合成梁の設計計算で決定されます。一般的には200〜300mmピッチです。
雨の日の施工は?
鋼材が濡れている場合はバーナーで乾燥させてから施工します。
水分は溶接不良の最大の原因です。
スタッドが折れた場合の補修は?
隣に新しいスタッドを溶接します。折れた根元は
グラインダーで平滑に仕上げてください。
施工前の確認事項は?
鋼材表面の錆・塗装・油・水分の除去、スタッドガンの設定確認、
試験溶接(最低3本)の曲げ試験合格を確認してください。
試験溶接とは?
本施工前に同じ条件で3本以上のスタッドを溶接し、
全てが曲げ試験に合格することを確認する品質管理工程です。
施工記録に何を残す?
溶接日時・天候・鋼材の乾燥状態・溶接電流値・試験溶接結果・
施工写真を記録します。
構造設計上の注意は?
スタッドの許容せん断力はJIS規格で定められており、
必要本数は合成梁の設計計算で決定されます。
スタッド溶接機のレンタルは?
建設機械レンタル会社で取り扱いがあります。
機器費は1日あたり5,000〜15,000円程度です。
既存建物のスタッドは点検できる?
コンクリートに埋設されているため通常は不可能です。
非破壊検査(超音波探傷)で溶接部の健全性を推定できます。
コンクリートを斫った時にスタッドが出てきたら?
合成梁の重要な構造要素です。切断・損傷させないでください。
斫り工事前に構造図でスタッドの位置を確認してください。
スタッドのサビは問題?
コンクリートに埋まっている限り問題ありません。
コンクリートのアルカリ性が鉄を保護しています。
防火被覆のピンスタッドとは?
鉄骨の耐火被覆材を固定するための細いピン型スタッドです。
頭付きスタッドとは用途が異なります。
スタッドの在庫管理は?
プロジェクト単位で必要数を発注するため、常備在庫は通常不要です。