電気通信工事施工管理技士とは
通信インフラ工事の品質と安全を管理する新設の国家資格
資格の概要
電気通信工事施工管理技士は、インターネット用光ファイバー網、携帯電話の基地局、建物の
LAN設備や防犯カメラ、放送設備など、あらゆる「情報通信インフラ」の工事を監督するための
国家資格です。
建設業法に基づく施工管理技士国家資格の一つであり、社会の急速なIT化と通信インフラの高度化
(5GやIoTなど)に伴い、電気通信工事の品質と安全を確保する目的で、平成31年(2019年)に
新設されました。電気工事が「電力を供給するインフラ」を扱うのに対し、電気通信工事は
「情報を伝達するインフラ」を扱います。
1. 1級と2級の違いと法的な位置づけ
他の施工管理技士と同様に、扱うことのできる工事の規模によって区分されています。
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1級電気通信工事施工管理技士:建設業法上の「特定建設業」における営業所の「専任技術者」や、
大規模な電気通信工事現場に配置が義務付けられる「監理技術者」になることができます。 -
2級電気通信工事施工管理技士:「一般建設業」における営業所の専任技術者や、中小規模の現場に
おける「主任技術者」になることができます。
2. 主な業務内容(通信インフラ特有の管理)
基本的な4大管理(工程、品質、安全、原価)は他の施工管理技士と同じですが、通信分野特有の
品質管理が存在します。
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伝送品質の管理:光ファイバーケーブルの融着接続部における光損失測定(OTDR等を使用)や、
LANケーブルの通信速度(帯域幅)のテストなど、目に見えない「通信品質」が設計通りに
出ているかを確認します。 -
システム連携テスト:設置した防犯カメラや入退室管理システム、放送設備などの機器が、
サーバーやネットワーク機器と連動して正常に動作するかの試験を監督します。 -
安全管理:電柱や鉄塔での高所作業、地下管路での酸欠危険作業などにおける事故防止措置を
講じます。
3. 対象となる工事の種類
電気通信工事に該当する領域は非常に幅広く、現代の建物の機能の中核を担っています。
- 有線通信設備工事:光ファイバーケーブルやメタルケーブルの敷設、海底ケーブル工事など。
- 無線通信設備工事:携帯電話等の基地局アンテナ設置、テレビやラジオの放送鉄塔の建設工事。
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情報設備工事:オフィスビル内のLAN配線、サーバーラックの設置、スマートビルディングの
制御ネットワーク構築。 -
放送・弱電設備工事:学校や病院の館内放送設備、火災報知器の連動配線、インターホン設備の
設置工事。
4. 電気工事との境界(混同しやすいポイント)
電気通信工事と電気工事は現場で密接に関わりますが、法的な区分が異なります。
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電源供給か通信か:機器を動かすための100Vや200Vの電源を配線するのは「電気工事」です。
一方、機器同士を繋いでデータや音声を送るためのLANケーブルや同軸ケーブルを配線するのは
「電気通信工事」です。 -
ダブルライセンスの有用性:現場では防犯カメラを取り付ける際に通信線と電源線の両方を
配線することが多いため、電気通信工事施工管理技士と電気工事士(または
電気工事施工管理技士)の両方を持つ技術者は極めて重宝されます。
5. 受験資格と試験の改正
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令和6年度の制度改正:他の施工管理技士と同様に受験資格が緩和され、第一次検定(旧学科)は
19歳以上であれば学歴や経験に関係なく受験可能となり、合格すれば「技士補」の称号を
得られます。
第二次検定(旧実地)の受験には所定の実務経験が必要です。 -
試験の難易度:情報通信ネットワーク技術(IPアドレスやルーティングプロトコルなど)に関する
高度なIT知識と、施工管理の知識の両方が問われます。
6. 経営事項審査(経審)と企業のメリット
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加点対象としての価値:電気通信工事業で公共工事の入札(防災無線の設置や公共施設の
ネットワーク整備など)に参加する際、1級保有者は「5点」、2級保有者は「2点」として
経営事項審査で加点評価されるため、企業にとって非常に価値のある資格です。
7. 今後の需要と将来性
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インフラの高度化:5G通信網の全国展開、自動運転のための道路通信設備、IoT機器の爆発的な
増加などにより、電気通信工事の需要は右肩上がりです。
しかし新設された資格であるため有資格者が圧倒的に不足しており、取得すれば転職市場で非常に
有利になります。
8. 多角的なQ&A
ITエンジニア(プログラマー等)の経験は受験資格の実務経験に入りますか?
パソコン上でのプログラミングやソフトウェア開発のみの経験は、建設業法上の
「工事」の実務経験には該当しません。
ケーブルの敷設や機器の物理的な設置・設定といったハードウェアの工事経験が必要です。
この資格がないとLANケーブルの配線はできないのですか?
作業自体は無資格でも可能です。
電気通信工事施工管理技士は、現場で作業員に指示を出し、安全や品質を管理する
「現場監督(管理者)」になるための資格です。
女性の取得者は多いですか?
電気工事や土木工事に比べて重量物を扱うことが少なく、パソコンを用いた設定や精密な
測定が多いため、女性の技術者(現場監督)も多く活躍している分野です。
試験の難易度はどれくらいですか?
第一次検定の合格率は40〜50%前後、第二次検定の合格率は30〜40%前後です。
通信技術は進化が早いため、最新のネットワーク規格等の知識を学ぶ必要があります。
「工事担任者」という資格との違いは何ですか?
工事担任者は電気通信事業法に基づく資格で、「端末設備を通信回線に接続する
実作業」の責任者です。
施工管理技士は建設業法に基づく資格で、「工事現場全体の進行管理(工程・安全・
品質)」を行うための資格です。
「監理技術者資格者証」の交付を受けるにはどうすればよいですか?
1級電気通信工事施工管理技士の試験に合格した後、一般財団法人建設業技術者センター
(CE)に申請することで、監理技術者資格者証の交付を受けることができます。
現場への配置にはさらに監理技術者講習の受講が必要です。
第二次検定(経験記述)ではどのようなテーマが問われますか?
自身が経験した電気通信工事において、品質管理(通信障害の防止策や測定結果の
評価)、工程管理、安全管理のいずれかのテーマに沿って、具体的な課題と講じた対策を
論理的に記述することが求められます。
「弱電工事」という言葉は法令上の用語ですか?
「弱電」は現場で広く使われる通称であり、建設業法上の許可業種としては
「電気通信工事業」に分類されます。電話、LAN、テレビ共聴設備などが該当します。
免除制度はありますか?
第一種電気通信主任技術者や、第一級陸上無線技術士などの高度な通信系国家資格を
保有している場合、電気通信工事施工管理技士の第一次検定における一部の科目が
免除される規定があります。
電気通信工事の特定建設業許可の要件は何ですか?
営業所に専任技術者として「1級電気通信工事施工管理技士」等を配置すること、および
財産的基礎(資本金2,000万円以上等)を満たすことが要件となります。
特定許可を得ることで、4,500万円以上の下請契約を結ぶ大規模工事の元請けに
なることができます。