風除室とは?
建物の入口にある「見えないエアカーテン」の空間
【超解説】とても簡単に言うと何か?
ビルやマンションの入口にある二重の自動ドアの間の小さな部屋です。外の風や熱気・冷気が
建物の中に直接入り込むのをこの空間で食い止めています。
1. 基本概要
そもそも何か
風除室(ふうじょしつ)は、建物の出入口に設ける二重扉構造の緩衝空間です。
英語ではvestibule(ベスティビュール)と呼ばれます。外側のドアと内側のドアを
同時に開かない構造にすることで、外気の直接侵入を防ぎます。
なぜ必要なのか
出入口が1枚のドアだけだと、開閉のたびに外気が大量に流入し、冷暖房のエネルギーが
大きくロスします。風除室は外気の侵入を最大70〜90%削減でき、
空調負荷の低減に大きく貢献します。
2. 構造や原理
基本構造
外側扉→風除室(小空間)→内側扉の二重構造です。人が外側扉から入ると
外側扉が閉じてから内側扉が開く、という順序で動作することで外気の流入を最小限に抑えます。
自動ドアを使用する場合がほとんどです。
エアカーテンとの併用
大規模商業施設では風除室の内側扉上部にエアカーテン(風のカーテン)を
設置して、さらに外気侵入を防止する場合があります。
3. 素材・形状・規格
ドア:アルミ製自動ドアが主流。ステンレス製やスチール製も使用。
壁面:ガラスカーテンウォールまたはアルミパネル。採光と開放感を確保するため
ガラス面を多くするのが一般的。
床面:泥落としマット、グレーチング等を設置。
バリアフリー法に基づき段差のない設計が求められます。
4. 主に使用されている場所
オフィスビル・商業施設・ホテル・病院・マンションのエントランス、駅ビル・空港ターミナル、
寒冷地の住宅、大型倉庫・工場の出入口など。
5. メリット・デメリット
メリット
① 省エネ:外気侵入を防ぎ空調負荷を大幅に削減。
② 快適性:エントランスホールの
温度変動を抑制。
③ 防風・防塵:強風時の風の吹き込みを防止。
④ セキュリティ:二重扉による
防犯効果も期待できます。
デメリット
① スペース:出入口に追加の空間が必要。
② コスト:自動ドア2組分の設備費がかかります。
③ 混雑時:人の流れが滞留しやすくなります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 小規模(2m×2m程度):
200万〜500万円程度
(自動ドア2組+ガラス壁+床仕上げ) - 中規模(3m×3m程度):
400万〜800万円程度 - 大規模(商業施設):
800万〜2,000万円以上
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
構造体(ガラス・アルミ枠)は建物と同寿命(30〜50年以上)。自動ドアの機械部分は
15〜20年で更新が目安です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
夏場に「涼しい外気を入れたい」と
風除室のドアを開放すると、
風除室の意味がなくなり
空調負荷が大幅に増加します。
自動ドアのセンサーを切ったり
ストッパーで固定するのはNGです。
8. 関連機器・材料の紹介
- 自動ドア:風除室の構成機器。
▶ 詳細記事はこちら - ガラスの種類:風除室の壁面に使用。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
なぜドアが2組もあるの?
外の暑さ・寒さ・風が建物の中に入り込むのを防ぐためです。
1枚のドアだけだと開閉のたびに外気が直接入りますが、2枚あれば緩衝空間になります。
風除室で待っていてもいい?
短時間であれば問題ありませんが、人の通行の妨げにならないよう気をつけてください。
雨宿りや喫煙場所としての使用は避けましょう。
冬に風除室が寒いのはなぜ?
風除室は外気と室内の中間なので室内より低い温度になります。暖房が効いていない場合は
外気に近い温度です。
ベビーカーは通れる?
バリアフリー法で一定の幅と段差解消が求められています。多くの風除室はベビーカーや
車いすが通れる設計です。
マンションにも必要?
中高層マンションのエントランスにはほぼ設置されています。オートロックの防犯機能も
兼ねている場合が多いです。
自動ドアの施工順序は?
①躯体開口の確認→②無目(自動ドア上部枠)の取付→③サイドフレームの取付→
④ガラスの建込み→⑤ドアの吊り込み→⑥調整の順です。
床の泥落としマットの施工は?
床のコンクリートにマット用の凹みを設けて埋込み型のステンレスマットを
設置します。段差なしに仕上げてください。
ガラス壁の防水処理は?
ガラスカーテンウォールの接合部にシーリングを施工します。外部側のシーリングは
耐候性の高いものを使用し、2面接着を守ってください。
電気配線で必要なものは?
自動ドア2組分の電源(AC100V)、セキュリティ(インターホン・電気錠)、
照明器具の配線が必要です。
排水計画は?
雨天時に風除室の床に水が溜まるため、床面に排水口を設けるか外側に向かって勾配を
付けてください。
寸法計画のポイントは?
奥行きは最低2m以上、幅は通行量に応じて2〜4m。車いす対応の場合は
有効幅900mm以上の通路を確保してください。
バリアフリー対応は?
段差の解消、車いすが転回できるスペース(1,500mm×1,500mm以上)、視覚障害者向けの
点字誘導ブロックの設置が求められます。
省エネ計算への影響は?
風除室の設置はPAL*計算(外皮の断熱性能評価)で有利に評価されます。
ZEB認証でも重要な要素です。
防火区画との関係は?
風除室のガラスに防火設備(乙種防火戸)の性能が求められる場合があります。
防火地域・準防火地域での設計に注意してください。
回転ドアとの比較は?
回転ドアは風除室なしで外気侵入を抑えられますが、コストが高く、
バリアフリー対応が困難です。安全面の問題もあり近年は風除室+引戸が主流です。
自動ドアの点検頻度は?
年2〜4回の定期点検が推奨です。センサーの感度調整、ドアの開閉速度、
戸車の摩耗を確認してください。
ガラスのひび割れは?
強化ガラスであっても衝撃やエッジの傷から割れることがあります。ひび割れを発見したら
早急にガラス交換を手配してください。
清掃のポイントは?
ガラス面の清掃と泥落としマットの清掃が日常管理の基本です。自動ドアのレール溝に
ゴミが詰まると故障の原因です。
台風時の対策は?
強風時は自動ドアを手動閉鎖モードにして不必要な開閉を防ぎます。
飛来物によるガラス破損に備えてください。
結露の問題は?
冬期にガラス面やアルミ枠に結露が発生します。複層ガラスや断熱サッシの
採用で軽減できます。結露水の排水経路を確認してください。