カーテンウォールとは?
超高層ビルの全面ガラス張りを実現する魔法の壁

【超解説】とても簡単に言うと何か?

六本木や丸の内にあるような「全面がピカピカのガラス張りになっている超高層ビル」の外壁の
ことです。
建物の重さを支える柱や梁(はり)に、あらかじめ工場で作った巨大なガラスや金属のパネルを、
カーテンのように「吊り下げて」貼り付けているため、カーテンウォール(帳壁)と呼ばれます。

1. 基本概要

そもそも何か

カーテンウォール(CurtainWall)とは、建築物の荷重を直接負担しない「非耐力壁」として
構成された外壁システムです。
建物の主体構造(鉄骨など)に、ガラス、アルミニウム、プレキャストコンクリート(PC)などの
外装パネルをファスナー(専用の金物)で取り付けて建物を覆います。

なぜ必要なのか

昔のレンガやコンクリートの重い外壁で高層ビルを作ると、自重で建物が潰れてしまったり、
地震の揺れで外壁が割れて崩落する危険がありました。
そこで、建物の骨組みだけを強固な鉄骨で作り、外壁は「軽くて建物の揺れに合わせて動く
(追従する)素材を吊るすだけ」という画期的な工法が必要になり、生み出されました。

2. 構造や原理

地震や風圧を逃がす仕組み(層間変位追従性)

高層ビルは地震や強風で数十センチも揺れます。
もし外壁がコンクリートでガチガチに固定されているとバキバキに割れてしまいますが、
カーテンウォールはパネル同士の繋ぎ目に特殊なスライド機構(ロッキング機構など)を
持たせているため、建物の変形に合わせてパネルがズレて動くことで破壊を防ぐ原理に
なっています。

ユニット工法による設置

窓枠とガラスがあらかじめ工場で一体化された「ユニット」を現場に運び込み、クレーンで
吊り上げてパズルのようにはめ込んでいくのが主流です。
これにより、高層階の足場がない空中でも、内側からの作業だけで安全かつスピーディに外壁を
完成させることができます。

3. 種類と分類

メタルカーテンウォール(金属製)

アルミやスチール、ステンレスの枠にガラスをはめ込んだタイプです。
現代のオフィスビルの象徴とも言える全面ガラス張りの外観(フルハイトガラス)を
作り出すことができます。

PCカーテンウォール(プレキャストコンクリート製)

あらかじめ工場で製造された薄いコンクリートの板(PC板)を取り付けるタイプです。
重厚感があり、タイル張りや石張りの仕上げを工場で施せるため、高級マンションやホテルでよく
採用されます。

4. 構成する素材

Low-E複層ガラス(エコガラス)

全面ガラス張りのビルは温室のように暑くなるため、特殊な金属膜をコーティングして太陽の熱を
反射し、さらに2枚のガラスの間に空気層を設けて断熱性を高めた高性能ガラスが
標準採用されています。

構造シーラント

ガラスとアルミ枠を接着し、雨風を完全に防ぐ強力な接着剤(ゴム状のパッキン)です。
地震時のズレを吸収するクッションの役割も果たします。

5. メリット・デメリット

メリット(長所)

圧倒的な「軽量化」により、超高層ビルの建設が可能になります。
また、工場生産による高い品質管理、足場不要による工期短縮、そして何より都市的で洗練された
美しいデザインを実現できます。

デメリット(短所・弱点)

パネルのつなぎ目(目地)に頼る構造のため、シーリング材が劣化すると雨水が侵入するリスク
(漏水)があります。
また、夏の直射日光による熱負荷が大きいため、空調設備の強化や高性能ガラスの採用による
コスト増を伴います。

6. コスト・価格の目安

カーテンウォールは、工場生産の専用パネルを使用し高所作業を伴うため、建物の外装材の中で
最も高額な部類に入ります。

おおよその相場(1平米あたり)

  • アルミ製(メタル)カーテンウォール:100,000円〜150,000円程度
  • PC(プレキャストコンクリート)カーテンウォール:120,000円〜200,000円程度
  • 高性能ガラス(Low-E複層ガラスなど):割増料金

合計目安:建築費全体の約10%〜15%を占める非常に高額な投資

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

カーテンウォールのアルミ枠やガラス、PC板自体の寿命は50年以上(半永久的)ですが、目地を
埋めているシーリング材(防水材)の寿命は約10年〜15年です。
このため、定期的に屋上のゴンドラから職人が下がり、シーリングの「打ち替え工事」を行う
必要があります。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】後付けの看板やアンテナの無断設置(ビス打ち)

テナント入居者が、窓の外側に看板を出そうとして、カーテンウォールのアルミ枠やパネルのつなぎ目(目地)にドリルで穴を開けてビスを打つことは絶対NGです。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

防水の要であるシーリング層や、内部の雨水を逃がす排水経路(水抜き穴)が破壊され、そこから
雨水が大量に浸入します。
階下のテナントのOA機器を水没させる大規模な漏水事故を引き起こし、億単位の損害賠償に
発展する恐れがあります。

8. 関連機器・材料の紹介

カーテンウォールの性能を支える重要な関連部材をご紹介します。

  • Low-E複層ガラス(エコガラス):金属膜コーティングと空気層により、直射日光の熱を遮断して
    空調効率を高める超高層ビルの必須ガラスです。※詳細記事は作成次第リンクします
  • 構造シーラント:ガラスをアルミ枠に強力に接着し、風圧に耐えつつ地震の揺れを吸収する、
    超高強度のゴム状接着剤です。※詳細記事は作成次第リンクします

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(住人・オフィスワーカー)目線

全面ガラス張りだと夏は暑くないですか?

熱を反射・遮断する「Low-E複層ガラス」を使っているため、見た目ほど暑くはありません。

窓を開けて換気することはできますか?

高層階での落下防止と強風を防ぐため、原則として窓は開閉できない固定窓(は
め殺し)です。

地震でガラスが割れて降ってきませんか?

建物の揺れに合わせてガラス枠がスライドする構造のため、割れて落下しにくい設計です。

外から丸見えになりませんか?

ハーフミラーガラスなどを採用し、外からは景色が反射し、中からは外が見えるよう
工夫されています。

鳥がぶつかってくることはありますか?

空や木々がガラスに反射するため、鳥が景色と錯覚して衝突するバードストライク現象が
起こり得ます。

職人(鳶・サッシ工)目線

数百キロあるユニットをどうやって取り付けますか?

屋上のタワークレーンで吊り下ろし、階上のウインチと連携してスラブの金物に
引き込みます。

ファスナー(留め具)の溶接で最も注意することは?

火花が下の階へ落下してガラスを傷つけたり火災を起こさないよう、厳重な火花養生を
行うことです。

風が強い日でも取り付け作業はできますか?

巨大なパネルは風の抵抗(帆の役割)を受けやすいため、基準風速を超えたら即座に
作業を中止します。

シーリング作業(防水)の品質を保つコツは?

目地のホコリや油分をプライマーで完全に除去し、内部に空気が入らないよう均等に
ガンで打ち込みます。

ユニットの目地幅が設計図と合いません。

鉄骨躯体自体の施工誤差です。
ファスナーのルーズホール(長穴)や調整ライナーを使って微調整します。

施工管理(現場監督)目線

メーカーの工場でモックアップ試験を行う目的は?

実物大の壁を作り、巨大な扇風機と放水で台風を再現し、設計通りに雨漏りや破損が
ないかを実証するためです。

搬入計画(ロジスティクス)で苦労する点は?

何千枚もの巨大パネルを、道路交通法をクリアしながら渋滞のない夜間に現場へ
搬入し揚重する点です。

内装工事を早めるための「ノックダウン」とは?

外壁を早く塞ぐことで雨の侵入を防ぎ、内装工事(ボードやクロス)を早期に
スタートさせる重要なマイルストーンです。

異種金属接触腐食(電食)を防ぐには?

鉄骨とアルミの枠が直接触れると錆びるため、必ず間に絶縁用のシートやワッシャーを
挟み込みます。

足場がないため、外部の仕上がりチェックはどうしますか?

各階の内側から目視確認するほか、ゴンドラを先行稼働させて外部から検査したり、
ドローンを活用します。

設備管理(ビルメン)目線

台風の翌日、窓際で水たまりを見つけました。

目地のシーリング切れ、またはパネル内部の排水機構(水抜き穴)の詰まりによる漏水です。

窓ガラスが白く濁ってきました(ヤケ)。

ガラス成分と酸性雨などが化学反応を起こした状態です。
研磨洗浄か、酷い場合はガラス交換になります。

ガラスが突然、何かにぶつかったわけでもないのに割れました。

強化ガラス内部の微小な不純物(硫化ニッケル)が膨張して割れる「自然破損現象」の
可能性があります。

冬場、窓際の足元が非常に冷え込みます(コールドドラフト)。

冷やされた空気がガラスに沿って下降する現象です。
窓下のペリメーター空調(ファンコイル)を稼働させて防ぎます。

屋上のゴンドラが故障して窓拭きができません。

ゴンドラメーカーに修理を依頼するか、緊急時はロープアクセス技術を持つ
特殊清掃業者に依頼します。