セルロースファイバーとは?
新聞紙が生まれ変わった「呼吸する断熱材」

【超解説】とても簡単に言うと何か?

新聞紙をリサイクルして作った綿状の断熱材です。壁や天井の中に専用の機械で吹き込んで
隙間なく充填します。調湿効果もあるのが特徴です。

1. 基本概要

そもそも何か

セルロースファイバーは、新聞古紙を主原料としホウ酸系の難燃剤を添加した
繊維状の断熱材
です。専用のブロアーマシンで壁体内や天井裏に吹き込み施工。
アメリカでは最も普及している断熱材のひとつです。

なぜ必要なのか

グラスウールなどの既製品は複雑な形状の壁体内に隙間が生じやすい。セルロースファイバーなら
配線や配管の周りにも隙間なく充填可能です。

2. 構造や原理

乾式吹込み工法(ドライ)

壁に通気シートを張り、小さな穴からホースでセルロースファイバーを圧縮空気で吹き込みます。
密度55〜60kg/㎥程度に充填。天井裏にも吹き積もらせます。

湿式吹付け工法(ウェット)

少量の水と接着剤を混ぜて壁面に直接吹き付けます。開放された壁体にも施工可能。
接着して固まるため沈下しにくい特徴があります。

調湿メカニズム

セルロース繊維は湿気を吸放出する性質があり、壁体内の結露を抑制します。
繊維の細かい空気層が断熱と調湿を同時に実現。

3. 素材・形状・規格

原料:新聞古紙80%+ホウ酸・ホウ砂20%(難燃・防虫)。
密度:壁55〜60kg/㎥、
天井25〜30kg/㎥が標準。
熱伝導率:0.038〜0.040W/(m·K)。
規格:JIS A 9523
(吹込み用繊維質断熱材)に準拠。日本セルロースファイバー断熱施工協会(JCA)の
認定品もあります。

4. 主に使用されている場所

木造住宅の壁・天井・床の断熱、既存住宅の断熱改修、RC造のルーフスラブ上断熱、
防音対策としての壁体内充填、天井裏の断熱改修。

5. メリット・デメリット

メリット

① 調湿性:繊維が湿気を吸放出して結露を抑制。
② 防音性:繊維の密度が高く
遮音性能が優れている。
③ 環境配慮:リサイクル材で製造エネルギーが少ない。

デメリット

① 施工の専門性:専用機械と訓練された施工者が必要。
② 沈下リスク:密度不足だと
経年で沈下する可能性。
③ 水濡れ:大量の水に浸かると断熱性能が大幅に低下。

6. コスト・価格の目安

おおよその相場

  • 壁充填(施工込み):
    4,000円〜7,000円/㎡程度
  • 天井吹込み(施工込み):
    3,000円〜5,000円/㎡程度
  • 住宅一棟(35坪目安):
    80万〜150万円程度
  • 材料のみ(15kg袋):
    3,000円〜5,000円/袋程度

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期

適切な密度で施工されていれば建物の寿命と同等。雨漏りなどで水濡れした場合は
部分的な入れ替えが必要です。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】密度不足での施工

壁の充填密度が50kg/㎥以下だと
経年で沈下して上部に隙間ができ、
断熱欠損の原因になります。
必ず規定の密度(55〜60kg/㎥)で
充填してください。
施工後のサンプリング検査が重要です。

8. 関連機器・材料の紹介

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(住宅所有者等)目線

新聞紙で本当に断熱できる?

はい、繊維の中に空気を大量に含むため高い断熱性。グラスウールと同等以上の
性能があります。

虫やネズミは大丈夫?

ホウ酸が添加されているため防虫・防カビ効果があります。ネズミも嫌がるとされています。

火災は心配?

ホウ酸系の難燃剤により自己消火性があります。燃え広がりにくく有毒ガスも少ないです。

アレルギーは?

グラスウールのようにガラス繊維がチクチクしません。自然素材でアレルギーリスクは
非常に低いです。

既存住宅にも施工できる?

壁に小さな穴を開けて吹き込むだけなので既存住宅の断熱改修に特に適しています。

職人(現場施工者等)目線

施工のコツは?

吹込み圧力と速度を一定に保つこと。密度計で随時確認しながら規定密度に達するまで充填。

通気シートの施工は?

壁体の室内側に不織布をタッカーで隙間なく張ります。シートの重なりは50mm以上。

天井裏の施工は?

天井裏に均一に吹き積もらせます。厚さ200〜300mm程度。ダウンライト周りは離隔を確保。

配管周りの処理は?

配管や配線の周りにも自然に充填されるのがこの工法の大きな利点です。

粉塵対策は?

施工中は細かい繊維が舞います。防塵マスクと保護メガネを着用。室内の養生も必要です。

施工管理者(現場監督)目線

品質管理の方法は?

充填後にサンプリング用の穴を開けて密度を測定。壁は55kg/㎥以上を確認。
記録を残してください。

防湿層は必要?

地域や工法によります。寒冷地(省エネ地域区分1〜3)では室内側に防湿シートが必要です。

工期への影響は?

1日で住宅1棟の吹込みが完了するのが一般的。通気シート施工を含めて2〜3日程度です。

他の断熱材との比較は?

グラスウールより高いが気密性と調湿性で優位。ウレタンフォームより安いが
断熱性能はやや劣ります。

認定施工店の選び方は?

JCA認定施工店かメーカー認定の業者を選定。施工実績と保証内容を確認してください。

設備管理者(保守点検者)目線

沈下の確認方法は?

壁の上部を開口して充填状態を目視確認。サーモグラフィーでも断熱欠損を発見できます。

雨漏り後の対応は?

水濡れした部分は乾燥させるか入れ替え。カビの発生が懸念される場合は
撤去して再充填してください。

リフォーム時の扱いは?

壁を開けると繊維がこぼれ出ます。養生を十分に行い、再充填の準備をしてください。

追加充填は可能?

沈下が発生した場合は上部から追加吹込みが可能。同じ製品を使用してください。

廃棄方法は?

自然素材主体のため産業廃棄物(紙くず類)として処分してください。ホウ酸を含むため
焼却処分が適切です。