硬質ウレタンフォームとは?
薄くて高断熱、隙間なく吹付けできる「最強の断熱材」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
液体を吹き付けると泡のように膨らんで固まる断熱材です。壁や天井の内側に吹き付けて
隙間なく断熱層を作り、冬は暖かく夏は涼しい家にします。
1. 基本概要
そもそも何か
硬質ウレタンフォーム(PUF)は、ポリオールとイソシアネートの化学反応で発泡・硬化する
独立気泡構造の断熱材です。気泡の中にガスが閉じ込められ、高い断熱性能を発揮します。
熱伝導率は0.020〜0.026W/(m·K)と断熱材の中でもトップクラスです。
なぜ必要なのか
住宅の断熱性能向上は省エネルギーと快適性の基本。硬質ウレタンフォームは
薄い厚みで高い断熱性を発揮し、吹付け施工で隙間なく施工できるため人気です。
2. 構造や原理
吹付け硬質ウレタンフォーム
専用の吹付け機で2液(A液・B液)を高圧で混合噴射。壁面に着弾すると瞬時に発泡し
10〜30倍に膨張して硬化。複雑な形状にも隙間なく充填。現場発泡の「A種」と呼ばれます。
ボード型硬質ウレタンフォーム
工場で成形したボード状の断熱材。寸法が安定しており切断して貼り付け施工。
外張り断熱に多く使われます。
3. 素材・形状・規格
分類:JIS A 9526(建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム)。
A種1はフロン系発泡剤(高断熱)、A種3は水発泡(ノンフロン)。
密度:吹付けA種1は30〜35kg/㎥、A種3は25〜30kg/㎥。
熱伝導率:A種1:0.020〜0.024W/(m·K)、
A種3:0.034〜0.040W/(m·K)。
4. 主に使用されている場所
木造住宅の壁・天井・床下の断熱、RC造マンションの内断熱、外張り断熱工法(ボード型)、
冷凍倉庫の断熱、配管・ダクトの保温・保冷、屋上防水層の断熱材。
5. メリット・デメリット
メリット
① 高断熱:薄い厚みで高い断熱性能を実現。
② 気密性:吹付けなら隙間なく施工可能。
③ 自己接着性:下地に直接密着して固定。
デメリット
① 可燃性:火に弱く有毒ガスが発生する。
② コスト:グラスウールより割高。
③ 専門施工:吹付けは専門業者が必要。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 吹付けA種3(水発泡 80mm):
2,500円〜4,000円/㎡程度 - 吹付けA種1(フロン系 50mm):
3,500円〜6,000円/㎡程度 - ボード型(50mm 910×1820mm):
2,000円〜4,000円/枚程度 - 住宅一棟(吹付け):
50万〜120万円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
適切に施工されたウレタンフォームは建物の寿命と同等(30年以上)。ただし紫外線に弱いため
露出部分は保護が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
硬質ウレタンフォームは可燃性で
火災時に有毒ガス(シアンガス等)を
発生させます。
必ず石膏ボード等の
不燃材料で覆ってください。
建築基準法の内装制限に
適合させる必要があります。
8. 関連機器・材料の紹介
- 断熱改修:硬質ウレタンを使う改修工事。
▶ 詳細記事はこちら - ロックウール:もう一つの主要な断熱材。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
グラスウールとどちらがいい?
気密性重視なら吹付けウレタン、コスト重視ならグラスウール。吹付けウレタンは隙間なく
施工できるのが最大の利点です。
後から断熱改修できる?
壁を開けて吹付け施工やボードを貼り付けることで既存住宅の断熱改修が可能です。
体に害はない?
硬化後のウレタンフォームは安定した物質で人体への影響はありません。
施工中は換気が必要です。
シロアリに食べられる?
ウレタンフォーム自体は食害を受けませんが、シロアリが通り道として
穿孔することはあります。基礎周りは防蟻処理が必要。
断熱効果はどのくらい?
80mm厚のA種3でグラスウール100mm相当の断熱性能があります。冷暖房費の削減効果は
20〜30%程度が期待できます。
吹付け厚の管理は?
吹付け後に厚みゲージで複数点を測定します。設計厚の±10%以内が許容範囲です。
気温の影響は?
10℃以下では発泡が不十分に。施工適温は15〜35℃。冬場は暖房で室温を
上げてから施工します。
保護具は?
イソシアネートは吸入毒性。防毒マスク(有機ガス用)、保護メガネ、保護手袋、
全身作業服が必須です。
余分な吹付けは?
はみ出た部分はカッターやのこぎりで平らに削ります。石膏ボードが密着するよう
面出しを行ってください。
電気配線との関係は?
配線を先に施工してからウレタンを吹き付けます。配線が埋まるため
後からの変更は困難です。
品質管理のポイントは?
①吹付け厚の測定記録、②密度の確認(サンプル採取)、③自己接着性の確認、
④表面状態の目視検査。
防火上の注意は?
内装制限に該当する場合は石膏ボード等で被覆が必要。施工中は火気厳禁で
消火器を常備してください。
次世代省エネ基準は?
地域区分に応じた断熱厚を確認してください。A種3で壁80mm・天井160mmが
一般的な仕様です。
換気との関係は?
高気密になるため24時間換気設備が必須です。計画換気量の確保を
設計段階で検討してください。
コスト比較は?
グラスウール充填の1.5〜2倍。ただし気密工事費が不要なためトータルでは差が縮まります。
経年劣化は?
壁内のウレタンは経年劣化がほとんどありません。紫外線に当たる露出部は
表面が黄変・脆化します。
水害後の対応は?
独立気泡構造のため吸水量は少ないですが、浸水した場合は乾燥状態を
確認し、カビ対策が必要です。
リフォームでの撤去は?
壁に密着しているため撤去は手作業でそぎ落とします。産業廃棄物(廃プラスチック類)
として処分してください。
断熱性能の劣化確認は?
赤外線サーモグラフィーで壁面の温度分布を確認。断熱欠損がある箇所は
周囲と温度差が見られます。
配管保温との違いは?
配管用は軟質ウレタンフォーム。建築用は硬質で密度が異なります。用途に合った製品を
選定してください。