電気工事業法とは?
「電気工事士法」とは別の法律 ─ 電気工事を「営業」するための登録制度
【超解説】とても簡単に言うと何か?
電気工事を仕事として行う
「会社」や「個人事業主」が
都道府県に登録(届出)する
ための法律です。
電気工事士法が「個人の資格」の法律なのに対し
こちらは「事業者(会社)」の
営業許可に関する法律です。
1. 基本概要
そもそも何か
電気工事業法(正式名称:電気工事業の業務の適正化に関する法律)は、電気工事業を営む者の登録制度と業務の適正化を定めた法律です。
1970年(昭和45年)に制定され、経済産業省が所管しています。
電気工事士法との違い
電気工事士法:電気工事を「施工する個人」の資格制度。
電気工事業法:電気工事を「事業として営む法人・個人」の登録制度。
混同されやすいですが、全く別の法律です。
2. 事業者の種類と登録制度
登録電気工事業者
建設業許可を持たない電気工事業者が
都道府県知事に登録するものです。
登録の有効期間は5年で更新が必要です。
営業所ごとに「主任電気工事士」の
設置が義務付けられています。
みなし登録電気工事業者
建設業法の電気工事業許可を持つ業者は
「みなし登録」として届出のみで
電気工事業を営むことができます。
ただし主任電気工事士の設置は
同様に必要です。
通知電気工事業者
自家用電気工作物(500kW未満)のみの
電気工事を行う業者は
都道府県知事への「通知」で足ります。
3. 主任電気工事士
資格要件:第一種電気工事士、または第二種電気工事士で3年以上の実務経験。
設置義務:一般用電気工作物の工事を行う営業所ごとに1名。
職務:工事の施工管理、工事士の監督、器具・材料の検査。
専任:他の営業所との兼任は不可。
4. 主に関係する場面
電気工事会社の設立・開業、
電気工事業の登録更新(5年ごと)、
営業所の新設・移転、
主任電気工事士の変更届、
建設業許可との切替え、
電気工事の下請け受注。
5. メリット・デメリット
メリット(法令遵守の効果)
施工品質の担保:主任電気工事士の監督で一定の施工品質が確保されます。
顧客の信頼:登録事業者であることが顧客への信頼の証になります。
法的リスクの回避:無登録営業は罰則の対象であり、登録により合法的に事業を営めます。
デメリット(事業者の負担)
登録手続きの手間:登録申請・更新に書類作成と手数料が必要です。
主任電気工事士の確保:資格要件を満たす人材の確保が必要です。
帳簿・器具の備付け義務:営業所には帳簿と絶縁抵抗計等の計測器具の備付けが必要です。
6. コスト・費用の目安
おおよその相場
- 登録申請手数料: 22,000円
- 登録更新手数料(5年ごと): 12,000円
- みなし届出手数料: 無料
- 必要器具(絶縁抵抗計等): 5万〜15万円程度
- 行政書士への申請代行: 3万〜8万円程度
7. 罰則と注意点
罰則
無登録で電気工事業を営んだ場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金。
主任電気工事士の未設置は2万円以下の罰金。
虚偽の登録申請は1年以下の懲役または10万円以下の罰金。
絶対にやってはいけないこと
「電気工事士の資格があるから
会社の登録は不要」と
誤解している事業者がいますが
電気工事を事業として行うには
電気工事業の登録が必須です。
無登録営業は発覚した場合
営業停止処分と罰則の対象です。
8. 関連法令の紹介
- 電気工事士法:
電気工事を施工する個人の資格制度。
▶ 詳細記事はこちら - 電気事業法:
電気設備の安全管理に関する基本法。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
電気工事を頼む時の確認は?
業者に「登録電気工事業者」の登録番号を確認してください。
都道府県のホームページで登録の有無を確認できます。
DIYで電気工事はできる?
電気工事士の資格がなければ、コンセントの交換やスイッチの増設はできません。
無資格工事は電気工事士法違反であり、感電や火災のリスクがあります。
見積りが安すぎる業者は?
無登録業者や無資格者が施工する可能性があります。
登録番号の確認と、工事士免状の提示を求めてください。
トラブル時の相談先は?
都道府県の電気工事業担当窓口に相談してください。
悪質な業者には登録取消し等の行政処分が行われます。
太陽光パネルの工事も?
太陽光発電の電気工事も登録電気工事業者が行う必要があります。
屋根工事は別途、建設業許可が必要な場合があります。
独立開業するには?
都道府県知事への登録申請が必要です。
第一種電気工事士か、第二種で3年以上の実務経験があれば主任電気工事士になれます。
備付器具とは?
絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計(テスター)の3点が必須です。
自家用電気工作物の工事にはさらに検電器等も必要です。
帳簿の記載事項は?
注文者の氏名、工事の場所、施工年月日、工事士の氏名、検査結果を記載します。
帳簿は5年間保存が義務です。
建設業許可との関係は?
500万円以上の電気工事を請け負うには建設業許可(電気工事業)が必要です。
その場合は「みなし登録」の届出を行います。
一人親方でも登録できる?
はい、個人事業主でも登録可能です。
自身が主任電気工事士を兼ねることもできます。
下請業者の確認事項は?
下請の電気工事業者が適正に登録されているか、主任電気工事士が選任されているかを確認してください。
現場に必要な書類は?
登録証の写し、電気工事士免状の写し、施工体制台帳への記載が必要です。
竣工時の検査は?
電気工事完了後は絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、導通試験を行い記録を残してください。
営業所の要件は?
独立した事務スペース、帳簿の保管場所、必要器具の備付けが求められます。
登録の更新を忘れたら?
登録の有効期間(5年)を超えると無登録状態となり、工事を請け負うことができません。
更新手続きは期限の30日前までに行ってください。
修繕工事の発注先は?
ビルの電気修繕工事も登録電気工事業者に発注してください。
ビルメンテナンス会社の中には登録を持つ会社もあります。
自家用電気工作物の工事は?
ビルの高圧受電設備(自家用電気工作物)の工事は「通知電気工事業者」が行えます。
第一種電気工事士の資格が必要です。
標識の掲示は?
営業所の見やすい場所に「登録電気工事業者登録票」を掲示する義務があります。
変更届はいつ?
商号・代表者・営業所・主任電気工事士の変更は30日以内に届出が必要です。
業務停止処分とは?
法令違反があった場合、都道府県知事は登録の取消しまたは6ヶ月以内の業務停止を命じることができます。